人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2017年11月のお奨め本

2017年11月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・日本経済論・入門 新版 -- 戦後復興からアベノミクスまで(八代 尚宏)

第一部では戦後の日本経済史、第二部では日本経済の構造的な問題について解説しています。

コンパクトながらよくまとまっています。
大学の一般教養(まだあるのでしょうか?)レベルぐらいです。

それほど深く勉強したことはないのですが、日本経済のターニングポイントは田中角栄の頃ではないかと思っていました。
あの頃にそれまでの高成長が永遠に続くことを前提として、地方へのばらまきと高福祉政策が本格化したのではないのでしょうか。
結果として非効率な経済、予算を源泉とした権力とたかりの構造、将来世代にツケを回す赤字で日本の経済は低迷しています。
著者も田中角栄の頃がターニングポイントだったと考えています。
著者は経済成長は生産性の向上であることを強調しており、政府の統制は逆効果であったという考えのようです。

さて、政府は賃金や価格を統制しようとし、様々な方法で国民負担を増やし代わりに政府支出を増やしつつあります。
果たして社会主義経済はうまくいくのでしょうか。




・ローマの歴史 (I. モンタネッリ)

ローマの成立から西ローマ帝国の滅亡までの歴史です。
歴史的事実を網羅するのではなくトピックスを時系列に並べて物語っていくというスタイルです。
主に歴史上の人物に焦点をあてて、時折皮肉を交えながらその人間臭さを語り口には思わずニヤリとしてしまいます。

少々古い本ですし厳密な考証に基づいた本でもないので、誇張があったり現在の研究とは異なるところがあるようですが教養レベルのローマ史を楽しみながら学ぶという意味ではとても良い本だと思います。

塩野七生の「ローマ人の物語」の縮小版といった感じかもしれません。
「ローマ人の物語」が長くて挫折した人もこちらなら大丈夫です。
私も「ローマ人の物語」は半分も読んでいません。
いつか最初から全巻読みたいと思っているのですが。




・ウール( ヒュー・ハウイー )

終末を迎えた世界で人類は地下144階のサイロの中で暮らしています。
カフェテリアのスクリーンから見えるサイロの外は荒涼としており、致死性のガスで人類が生きてはいけない世界でした。
外の世界に憧れてしまった者や厳罰が下ったものはサイロの外へ出てスクリーンに映像を映すレンズを磨く「掃除」をさせられます。
ガスから守る防護服を着て外に出ても必ず死ぬことなるのですが、ついに生き残った者がでます。
サイロの住民の中に隠された真実に気づいたものがあらわれたとき、サイロでついに反乱がおこります。

面白いです。
破局を迎えた後の世界というありがちな設定ですが、サイロに暮らす人々とそこで支配する秩序からなる世界に引き込まれていきます。
テンポよく進んでいくので中だるみもなく一気に読めます。
SFの要素はそれ程ありません。




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[ 2017/12/10 17:09 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(4)

2017年10月のお奨め本

2017年10月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・デイヴィッド・ヒューム:哲学から歴史へ(ニコラス・フィリップソン)

ヒュームの伝記的要素を含んだ解説書です。
ヒュームと言えば人間本性論を記した偉大な哲学家というイメージですが、本書では歴史家としてのヒュームを描いています。

ヒュームは国民の政治的な習性、宗教、党派主義といった視点と人間本性論の下地により画期的なイングランド史をあらわしました。
当時の党派的な歴史ではなく人間学的な歴史を目指したのです。
当時の政治や社会は超越した理念や抽象的な議論で対立したり、物事がを決めることができないことをヒュームは嘆いてますが、このような政治状況の原因を辿り、読者に提示して、読者に歴史から学ぶことを望んだのでしょう。
それにしても彼の宗教嫌いは徹底しており、スコットランド教会とも対立していますが、18世紀にはここまで教会を攻撃することができたのかと不思議にも思います。

人間本性論は全く売れなかったそうですが、イングランド史は売れまくってかなり裕福になりました。
またイングランド史は100年ほど売れましたが、19世紀後半に絶版となり近年にようやく再販されたそうです。
少々読みにくいですが、ヒュームの新たな印象を与えてくれた本でした。




・人物で語る物理入門 (米沢 富美子)

古代からの重要な物理学者を取り上げてその人物の業績とエピソードで物理学の歴史をたどります。

レベルとしては高校生ぐらいなので読むのは難しくありません。
こういう本は画期的な業績を成し遂げた学者がどのような人だったのかというエピソードが面白いです。
アインシュタインのような一般人が想像する天才もいますが、真面目な常識人の天才のほうが多いのは当たり前の話です。
私達はどうしてもといっちゃってる天才を期待するものです。

自分の業績を不当に評価されたり、他人に横取りされたりした学者、女性として男性社会の偏見の中で実績を上げた学者、人間嫌いの学者、あらゆる人に好かれた学者、当たり前ですが、天才たちにもそれぞれの個性と人生があるのだなあと少し身近に感じられます。

高校生や物理学の歴史を楽しく復習したい人におすすめです。




・ザ・カルテル (ドン・ウィンズロウ)

前作「犬の力」でメキシコの麻薬王アダン・バレーラを捕らえた麻薬取締局のアート・ケラーはバレーラの脱獄を知ります。
メキシコの麻薬戦争が激化して多くの犠牲者が出る中で、再びケラーとバレーラの戦いが始まります。

前作に続いてスケールの大きなハードボイルドです。
本書ではケラーとバレーラの役どころが少し薄くなっており、バレーラが復帰したことによる麻薬商たちの新たな勢力争いが主眼となっています。
また前作で死んだバレーラの弟ラウルのような他の登場人物に際立った個性が欲しいかなと思います。
前作よりはパワーダウンしているような印象でしたが、やはり面白く読み始めると止まらないです。
そしてケラーとバレーラの長い戦いにも決着がつきます。

50年以上続く麻薬戦争は描いた本書を読んでいると本当に救いがないように思えてしまいます。
そして当たり前の話ですが、結局はアメリカで麻薬を買う人間がいるからこの戦争は終わらないのです。



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[ 2017/11/05 20:01 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(2)
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