人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2013年6月のお奨め本

2013年5、6月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。
忙しくて本をあまり読めていないので先月の更新はサボりました。

・逃亡〈上〉 (新潮文庫)

香港で憲兵隊の軍曹であった守田は敗戦後、戦犯として追及されることを恐れて憲兵隊を離隊して逃亡する決意をします。
何とか日本に帰り両親、妻子と再会を果たしますが、再び戦犯として官憲から逃れる逃亡生活が始まります。

時代と国家に翻弄され続けた憲兵隊員と無事を願う妻を中心に重層的に展開していきます。
国家と個人の戦争犯罪というよりはあの時代に生きるとはどういうことだったのかと語りかけてきてくれるように思います。
生活の一つ一つの緻密な描写が豊かな情景となり引き込んでいく著者の描写力はさすがです。
派手なストーリーが展開されるわけではないですが、濃密なストーリーには必ず引き込まれるでしょう。
読み継がれて欲しい作品の一つです。




・大森荘蔵セレクション

大森荘蔵の代表的な論文を収めています。
前期、中期、後期と分けており、大森荘蔵がどのような思索を行ってきたかを感じることができるようになっています。
初めて大森荘蔵を読む人にもこの戦後を代表する知識人は何を考えていたのか何となく分かることでしょう。

それにしてもやはりこの人はすごいの一言です。
かなり久しぶりに大森荘蔵を読んだと思うのですが、大体読んだものばかりのはずなのに初めて読んだときと同じぐらいの感動があります。

知覚、他我、時間の問題などが大森が生涯をかけて追求したテーマであり、この本にもこれらの論文が収められています。
私が特に感心するのは知覚の問題についてです。
作用-内容-対象というルートへの徹底的批判は常識的な世界を覆すパワーがあります。
考えに考えるとはこういうことだという見本でしょう。
他には哲学は事実記述であり、方法は違うが科学と同じだという「哲学的知見の性格」には天晴れと言いたいです。




・超越のことば―イスラーム・ユダヤ哲学における神と人

イスラム哲学、ユダヤ哲学、イスラムの神秘主義などについての論文集。
アラビーの存在一性論など若干難しいところもありますが、中世に花開いたイスラムとユダヤの哲学の流れを大体掴むことができます。
中世ヨーロッパでもそうですが、哲学的合理主義と宗教という枠組みのせめぎ合いは本当に面白いです。
まさに碩学といえる著者は専門であるイスラムだけではなく、仏教、キリスト教、ヒンドゥー教などを縦横無尽に関連させて論じていきます。

大森荘蔵といい井筒俊彦といい、偉大な学者はやはり素晴らしい本を残してくれています。
彼らのおかげでこの暇な人生にも潤いが与えられます。
やはりまずはその分野の大御所の本を読むべきだなあと毎回思わされます。
たとえ理解力が浅くても彼らについて解説した本がたくさんありますし、必ず批判しているような本もあるので無批判に受け入れる可能性も少ないです。


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[ 2013/07/13 16:40 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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