人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2013年3月のお奨め本

2013年3月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・聖の青春 (大崎善生)

怪童と称されトップ棋士だった村山聖の29年の短い一生を描いています。
彼は幼くして大病を患い、長くは生きられないことを自覚することになります。
限られた命を将棋の名人位を取ることに全てを捧げた彼の生き様と彼と家族、師匠、ライバルたちとの交流は涙なしでは読めません。

死をいつも身近に感じていて、しかも人生で成し遂げるべきことがある人間の執念は凄まじいの一言です。
彼は強情で自分の考えを一切変えようとしなかったらしいですが、自分の考え方を変える時間すらないというのが非常に印象に残りました。

村山棋士も魅力的なのですが、師匠であった森棋士も非常に印象に残る変わった人です。
村山棋士と森棋士は出会うべくして出会ったのだと思わせる師弟関係で、最後の師匠が弟子の遺体にすがりつく場面は号泣ものです。



・文明と戦争 (アザー・ガット)

先史時代から現代まで文明と戦争の関係を詳説しています。
生物学や人類学から政治学まで広範な知識を駆使して人類にとって戦争とは何かを解き明かす野心的な著作です。

とにかく様々な分野から戦争を考えるというのが非常に面白いです。
遺伝子を残す目的を持った生物としての人間の戦争、馬や火薬などの技術が戦争や人間社会に与えた影響、経済力と戦争の関係、戦争の犠牲者の割合、兵士を担った階層、思想と戦争の関係などが述べられています。

かなり分厚い書物ですが歴史や戦争に興味のある人には必読の良書です。
このレベルの本を日本人で書ける人はいるのでしょうか。



・ハルビン・カフェ (打海文三)

朝鮮人と中国人の難民が押し寄せ彼らの居住区ができ、マフィアも組織されている北陸の架空の都市が舞台。
犠牲者を多数出す下級警察官はマフィアにテロルで対抗するPという組織を結成し、マフィアそしてついには警察の公安にも牙をむきます。
東京で起きた殺人事件をきっかけにPの内部にいるとされる内通者を巡って事態が動き出します。

日本人の小説には珍しい多国籍で危険な香りのする濃密な空間を持つ小説です。
登場人物の視点が次々と入れ替わり、警察とマフィア、Pの陰謀や思惑が徐々に明らかにされるのは圧巻です。
ハードボイルドを楽しみつつ複雑な陰謀絡みあうクライムノベルといったところでしょうか。
読み手をかなり選び万人向けではないですが、完成度の高い作品です。


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[ 2013/04/21 17:23 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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