人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2013年1月のお奨め本

2013年1月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・ゼロ金利との闘い―日銀の金融政策を総括する(植田 和男)

学者出身で1998年から2004年まで日銀の審議委員を務めた著者が当時の日銀の政策を振り返って当時の学会の議論などと比較しながら解説しています。
主な論点は時間軸政策、ツイストオペのような資産の入れ替え、バランスシートの拡大についてです。
非常に分かりやすくコンパクトにまとまっているので何故か未だに蒸し返されるこれらの議論を知るのに良い本だと思います。
それほどは細かい説明ではないのである程度知識がある人にとってはおさらい程度に読む本です。
若干アカデミックですが、この程度を理解できないのなら金融政策について何らかの意見を表明してはいけないと思います。

リフレ派の議論の何がいらだたせるかというとこの20年議論されてきたことを踏まえることなく一切無視してしまうことです。
これまでの常識を超えた理論を唱えるのはダメなことではなく素晴らしいことなのですが、そこには根拠が必要ですしそれまでの理論を踏まえなければなりません。
もちろん大半の経済学者はまともです。
エコノミストは怪しい人が多いですが、これは自身の商売のことを考えるので仕方がないでしょう。
それにしてもまともでない人の威勢の良い政策を政治家や国民は求めてしまうようです。
いつまで雨乞いのようなことに頼ろうとするのでしょうか。

私はやはり中央銀行は金融システムの安定と物価の大きな変動を防ぐことのみの役割に徹し、本来政府がやるべきことを無理して中央銀行が代わりにやるべきではないと考えます。
バブル後の日本やリーマンショック後の欧米であれば中央銀行が積極的に政策を打つのは理解できますが、現在のような金融システム不安が和らいでいるときには市場の資源配分をゆがめるようなことは決してすべきではないでしよう。

それにしても白川さんはよく頑張ったと思います。
最後の政府からの圧力からも何とか切り抜けたように見えます。
イタリアのモンティさんのように白川さんには総理大臣をして欲しいぐらいです。
白川さんが総理大臣として冷静に判断しつつ、個々の省庁にはゴーンさんのようにリーダーシップを持って変革していく人がトップに立てば日本もだいぶ良くなると思うのですが。




・始祖鳥記 (飯嶋 和一)

災厄が続き、公儀も独占商人と結託して悪政を敷いていた江戸天明期。
ここではないどこかへ憧れ鳥のように大空を飛ぼうとした幸吉の一生と幸吉に関わることになった人たちを描いています。

武士でもなく剣客でもなく天才肌の職人が主人公です。
かといって市井の人というにはスケールが大きすぎる主人公であり、時代小説にはあまりないタイプです。
そんな幸吉が己の思惑とは離れたところで騒ぎを巻き起こしながら爽やかに生涯を駆け抜けていく様は読者を引き込んでくれます。

ただ幸吉を含めた登場人物像が似通いすぎて話が平板な印象を受けること、幸吉以外の登場人物の話の部分が多すぎて幸吉の魅力がぼやけてしまっていることなど不満な点もいくつかありました。




・群衆―モンスターの誕生 (今村 仁司)

近代資本主義とともに誕生した群衆についての考察をしています。
それまでにも存在した群衆とは異質な群衆が出現したときの当時の文学者などの驚きに着目しながら、これまでの群衆に関わる議論をまとめているので群衆論の入門書として最適だと思います。
特に「フランケンシュタイン」に現れた群衆への恐れの解説は非常に興味深いものがあります。

群衆とはどういう存在でしょうか。
例えば授業を聞いている学生たちは群衆ではありません。
しかし火事が発生して教室から学生たちがいっせいに逃げ出すと群衆が現れます。
つまりそこにあった差異の体系が消えさってしまうのです。

このような群衆は古代から存在したはずです。
近代になって現れた群衆は何が異なるのでしょう。
それは社会階層、階級を問わず群衆と化し、社会全体に群衆精神が行き渡ったことでしょう。
群衆社会の最たるものがナチスやスターリニズムなどのような全体主義国家といえます。
今や群衆はあちらこちらで見ることができます。
日本を嫌悪する中国人、中国を嫌悪する日本人、反原発に興奮状態になる人たち、皆で絆を求め一つになることを強要する人たちなどいくらでも例があります。
そこには自己を喪失し群衆と化してしまった差異のない存在があるだけです。
そして悲劇はこのような理性を使いこなせなくなった存在が爆発したときに生まれるのではないでしょうか。

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[ 2013/02/10 21:13 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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