人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2019年6月のお奨め本

2019年6月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・運命論を哲学する (入不二基義 森岡正博)

入不二基義の運命論を森岡の解説文、入不二と森岡による哲学ラボでの講義、対話、哲学ラボの後の入不二と森岡による考察からなります。

入不二の運命論を森岡は現代日本の哲学の一つの到達点と言います。
因果の連鎖や外部からの視点も持ち込まない、単線的、論理的運命論は世界でも論じられていないのではないかとも述べています。
私には日本と世界の哲学界の状況なんて分かりませんが、入不二の運命論の著作は人生でも衝撃を受けた本の一つです。

絶対的な現実と相対的な現実が絡まりそのせめぎあいで「あるようにあり、なるようになる」ときに、そこに人は存在するのか、自由意志や未来はどうなるのか。言語との関係は?
入不二はこれらのことに言及してはいますが、私にはまだまだ納得感がありません。
入不二ワールドはまだまだ広がっていくのでしょうか。

この本は入不二の「運命論の運命」よりかなり易しくなっているので、前提知識がなくとも読めるのではないかと思います。
偶然と必然とは自由意志はあるのか、運命はあらかじめ決まっているのかなどに興味がある人には読んで欲しい一冊です。




・街並みの美学 (芦原 義信)

街並みの美しさとは何なのでしょうか。
著者は建築と空間を論じることによってどのような街並みが美しく、人と調和しているのかを日本や世界の街並みを例に考えていきます。

日本や世界で美しく感じる街というのものがあります。
ヨーロッパの重厚な石造りの家々や教会が並ぶ街並みは誰しもが美しいと思うのではないでしょうか。
地中海に面する白やブルーの壁の家が海沿いの山に張り付いている街も美しい町として誰もが思い浮かべると思います。
日本であれば町家が並ぶ京都の通りでしょうか。

しかし、何故これらの街並みを美しいと感じるのでしょうか。
著者はこれを建築や空間の視点から解説しています。
例として日本と西欧との家の違いについて考察しているのですが、これが日本と比較して西欧に美しい街並みが多い理由としています。
日本では家と街は境界線で鋭く区別しているので塀などで周りを家を囲います。
一方、西欧では家を外部である街の延長と考えており、境界線がはっきりしておらずそれが全体の都市空間の調和につながっているそうです。

その他にも石造りの家や木造の家の違い、京都やギリシア、イタリア、イランの街並み、コルビュジェの建築が目指したものなどに関する考察など興味深いものばかりです。

少し古いため、若干現在の人々の感覚とは違ってきているのではないかと思うところもありましたが、美しい街、人と調和した街の理論的考察なんて考えたこともなかったのでとても新鮮に読めました。
それほど難しくないエッセイ風の文章なので読みやすいです。




・氷の家 (ミネット ウォルターズ)

田舎の豪邸に女主人とその友人の二人の女性、手伝いの夫婦が住んでいました。
あるとき敷地内の氷室から死体が発見されます。
女主人の夫は以前に失踪しており、その夫ではないかと疑われます。
夫が失踪当時は妻である女主人が殺害したのではないかと疑われていましたが、死体も殺害した証拠も出ていませんでした。

発見された死体は誰なのかということ、失踪した夫はどうなったのかということを主軸に、3人の女性と刑事の人間描写を中心に物語が展開していきます。
物語の展開が面白くちょっとしたどんでん返しがあったり、その都度の中心人物を入れ替えて人物描写していることも物語の面白さにつながっていると思います。

派手さもないし、いわゆる本格推理でもないのですが、人間模様と明かされていく真実に満足感の高い作品です。


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[ 2019/07/09 15:47 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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