人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2015年9月のお奨め本

2015年9月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・人口の世界史(マッシモ リヴィ‐バッチ)

人口学の基本的な考え方を解説しています。
土地の開拓や農業の生産性向上、疫病の流行、実質賃金、家族制度や避妊などの文化的習慣がどのように人口成長率に影響を与えたのかなどです。
これらが出生率と死亡率に影響を与え、その差が増加率となります。

人口成長率を増大させる要因としては、農産物の収穫量の発展、乳児や子供の死亡率の低下、疫病により死亡率の低下のような物理的な要因があります。
一方で家族観の変化のような文化的な要因も人口成長率をに大きな影響を与えます。
現代では先進国で少子化が問題になっています。
結婚しない人が多くなり、結婚しても子供を持たない人も多くなっています。
子供を沢山持ちたいが養育費が増大しているのであまり持たないという人もいます。
江戸時代に多く行われた間引きは経済的なものでしょうが、文化的なものもあるかもしれません。

私は歴史上の人口の推移にとても興味があります。
日本の縄文時代は多いときでも25万人程度で少ないときは数万人です。
こんなに人口が少ない時代でも国内外との交流がありました。
白村江の戦いの頃は400万人ぐらいまで増えていますが、朝鮮半島に送った兵力は1万人近くです。
現在の日本の人口からすると25万人の兵力を送ったことになりますが、余剰生産力を考えるととんでもない人数のように思えます。
このような想像を働かすのが楽しいのです。

人口学の基本的な考え方の解説を中心にしているため読み物としてはいささか退屈だと思います。
しかし最初にこのような基本を押さえておくために読んでおきたい本です。



・日本の哲学をよむ: 「無」の思想の系譜 (田中 久文)

西田幾多郎、田辺元、和辻哲郎、九鬼周造、三木清のそれぞれの生涯を取り上げ無の思想を読み解いていきます。

特に西田の解説が分かりやすいものでした。
純粋経験から無の場所へと西田がその思想をどのように深化させていったのか非常に面白いです。
田辺の西田への批判を受けてその思想を再び構築していこうとする姿勢は心打たれるものがあります。
あとは西田の弟子である三木が虚無にはまり込んでいくところに興味を惹かれました。

これまで京都学派にあまり興味を持つことがなくてあまり読んでこなかったのですが、その系譜を追うと中々面白いです。
特に西田はきちんと読んどくべき人だろうと思いました。
今までに2冊ぐらいしか読んでいないはずなので一度きちんと読んでみなければと思います。
西田と並び称される田辺については昔からあまり私にはあいません。
どうにもあの弁証法的な論理や種の論理などが好きになれないですが、本著を読んでみてもあまり深く知りたいとは思いませんでした。

これだけの内容を詰め込んでいるのにコンパクトにまとまっており読みやすいです。
お薦めです。




・陰摩羅鬼の瑕 (京極 夏彦)

旧伯爵で白樺湖の洋館に無数の鳥の剥製とともに暮らす由良昂允。
伯爵は5度目の結婚式を迎えようとしていましたが、過去4度の結婚式では花嫁は全員殺害されていました。
探偵榎木津、作家関口は伯爵の結婚式に招かれることになります。

衒学的なミステリです。
事件そのものの話は3分の1もないぐらいです。
ひたすら存在と存在すること、死、そして儒教の話です。
ハイデッガーや林羅山の解説などどうでもいい人にはかなり苦痛だと思いますが、儒教の解説はさすがに面白いです。
これらは伯爵が作り上げた世界の理解へとつながっていくので結末を楽しむにはやはり理解しておいたほうがよいかなと思います。

事件の真相は単純と言えば単純で予測はできるのですが、伯爵の作り上げた世界の面白さはさすが京極夏彦だと思います。
読者を選びますが衒学ミステリが好きな人にはお薦めです。

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[ 2015/10/04 11:04 ] 今月のお奨め本 | TB(0) | CM(0)
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