人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2015年4月のお奨め本

2015年4月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・疫病と世界史(ウィリアム・H. マクニール)

なぜコルテスは少ない兵力でアステカを滅ぼすことができたのか。
高度な軍事力などだけでは説明がつかないのではないか。
著者はそのような疑問から疫病に注目をして疫病と人類の歴史の関係を探っていきます。

本書ではミクロ寄生とマクロ寄生という観点で歴史を紐解いていきます。
ミクロ寄生は細菌などの寄生生物が人類の身体に寄生している状態で、最初は人類を死に至らしめますが次第に安定的な状態になります。
マクロ寄生は遊牧民や都市の征服者が地方の被征服者の収穫物の収奪や余剰人口の吸収などで寄生している状態です。
これは中々面白い着眼点で農作物の生産力、交通の発展、そして何より疫病の発生、疫病への耐性の獲得がとても重要な要素となります。

中世ヨーロッパを襲ったペストについては誰でも知っていると思いますが、疫病は人類の歴史上ずっと大きな災厄をもたらしてきたものです。
そしてその威力は凄まじく、人口の半分を死に至らしめることは珍しくもないことだったようです。
軍隊でも最近までは疫病による死者が戦闘による死者よりはるかに多かったそうです。
軍隊や都市では人が稠密になり、衛生を保つのが難しいためです。
一方で衛生状態が悪いところでは疫病への耐性を獲得する機会が多いことにもなります。
都市の栄養不良の青年は都市で様々な疫病への耐性ができており、田舎の健康だが疫病の耐性が少ない青年より軍隊での死亡率がはるかに低かったそうです。
因みに疫病対策として兵隊に予防接種などの対策を組織的に行ったのは日露戦争時の日本軍だそうです。
絶大な効果があったらしくそれ以降世界中の軍隊がこぞって疫病対策を取り入れました。

ヨーロッパが南米に進出した時にはすでにヨーロッパ人は長い疫病との戦いの歴史を経験しており疫病への耐性がそれなりにできていました。
しかし南米ではそれまで旧大陸と接触がなかったため疫病の経験が少なくヨーロッパ人が持ち込んだ疫病によって多大な被害が出ており、人口は1割ほどにまで減ったとされています。
疫病が原住民の戦闘力を奪い、さらには病気にならないヨーロッパ人を神と信じてしまったのなら、いとも簡単に征服されたのもうなづけます。

南米の事例だけでなく、ローマ帝国、インド、モンゴルの世界征服、中国、日本など多くの地域での疫病の事例を取り上げており読み始めると止まりません。
様々な条件はありつつも歴史とは人類自らが作り上げてきたと思いがちですが、実際は寄生生物が大きな役割を果たしてきたのかもしれません。




・貨幣とは何だろうか (今村仁司)

貨幣は交換制度の中心ですがこれまで経済的な視点ばかり語られてきました。
しかし哲学的な視点からももっと語られるべきではないか、貨幣が暴力を封じ込め形式的合理性を作り出すことに注目すべきではないか。
そのような視点から貨幣について語っています。

貨幣は人と人とを媒介するものです。
直接の接触を避け媒介されることによって人は直接的な接触を避けることができ、そこから生まれるカオス、暴力を避けることができます。
いわば人と人の距離を遠ざけているのですが、一方で完全に離してしまうこともありません。
そこに制度化、形式な合理性を生まれます。
人が社会的な営みをするためには貨幣による媒介制度を避けて通れません。
実際、貨幣制度を廃棄しようとした試みは歴史上すべてカオスと暴力を生み出してきました。

しかし人は貨幣制度の廃棄を夢見ます。
著者は貨幣と文字との類似を見ています。
貨幣により人から分離して封じ込められたものには死の観念が潜んでいます。
文字も同様に語られた言葉からその状況を捨象し死んだ状態の言葉を表すものとして文字があります。
その死の観念に不純なものを感じ取り貨幣や文字への嫌悪が生まれるのです。

今村仁司の作品にはあまり好きなものはないのですが、以前に紹介した「群衆 モンスターの誕生」と本書は好きで手放さずにずっと持っています。
少々難しいですがお薦めです。




・火星年代記(レイ・ブラッドベリ)

人類が火星へと到達した時から始まる火星の物語を綴った短編の連作集です。
それぞれの章は独立した話ですが、物語は展開していき結末めいたものもあります。

あまりにも有名なSF小説の古典です。
ですがいわゆるSF小説ではありません。
未来の話ですが未来であることに意味はありませんしサイエンス的な要素もありません。
どちらかというと寓話的な幻想小説です。
詩的な文章や現代文明への皮肉が散りばめられています。

文明批判の要素は多いのですが幻想的な世界が面白く、浸れることができました。

関連記事


にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村

[ 2015/05/10 11:57 ] 今月のお奨め本 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

ブログ村
にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
検索フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

相互リンクとコメントを頂いた方