人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2015年3月のお奨め本

2015年3月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・哲学塾授業(中島 義道)

中島義道が開いている哲学塾カントでの授業風景を描いています。
哲学者が何を言わんとしているのかを中島が生徒に問い、生徒は四苦八苦して答えをひねり出します。
しかし中島は読み方が浅いと指摘してさらに深く考えるように促していくという流れで授業が進んでいきます。
そして読者も生徒と一緒により深く理解できるようになっていきます。

取り上げられる哲学書の文章はほんの少しです。
各哲学書で1ページ程度です。
しかしたった数フレーズであっても深く理解するにはこれぐらい言葉を費やさないと理解することはできないのでしょう。
哲学書を読むことの難しさ、概説書では皮相しか分からないことを思い知ると思います。

哲学書を読むには訓練が必要で適切な指導を受ける必要があると様々なところで中島は述べています。
また哲学書を読むにはセンスが必要で大半の人はそのようなセンスがないとも述べています。
確かにその通りでこのような本を読むと自分は哲学書を読んでもほとんど理解していないのだろうと思い知らされてしまいます。

面白いもので自分に合う哲学があり、哲学者の言いたいことが自然に理解できるものとそうでないところがはっきりするようです。
本の中の生徒もそうでしたが、私もそうでした。
本の中で中島が問うことに自分でほぼ正確に答えることができたところもあれば全く分からないところがあり、はっきりと傾向があったように思います。

取り上げられるのはほんの少しのフレーズでも哲学の面白さ、哲学世界の深さに驚くことでしょう。
中島の問いに自分で答えを考えながら読んでほしいです。
お薦めの本です。



悪の教典(貴志 祐介)

高校の英語教師で弁舌さわやかな蓮実は生徒から絶大な人気を誇っていました。
学校問題の解決にも能力を発揮し学校の同僚にも頼られます。
蓮実には隠された真実がありました。
爽やかな外面とは異なり内面は共感性を欠如しており邪魔な存在を排除することに全く躊躇しない人間だったのです。
やがて蓮実は生徒も学校も巧みに自分の支配下に置くようになります。
そして死の序曲が始まります。

前半はゆっくりと物語の布石を打っていくのですが後半では急展開して凄まじいテンポで結末へと向かいます。
前半はサイコホラーという感じで、後半の急展開はアクションシーンの連続です。
展開の仕方は唐突な感じもしますが、これはこれで前半も後半も面白く思えました。
特に後半の息つかせぬ展開はページをめくる手が止まりません。

怖い小説のはずですが最後まで何だかワクワクしながら読んでしまいました。



・中庸の神学: 中世イスラームの神学・哲学・神秘主義 (ガザーリー)

ガザーリーの代表作3篇、「誤りから救うもの」、「中庸の神学」、「光の壁龕」を収録しています。

中世イスラームを代表する神学者の主著です。
特に「中庸の神学」はガザーリーの思想をよく表しています。
哲学者やイスマーイール派、ムータジィラ派、唯物論者への批判を加えながら神の本質、属性、行為について解説しており、正統派のイスラム神学を学ぶには最適だと思います。
内容もそれほど難しくはありません。
現代の私たちから見ると理解できないことばかりかもしれませんが、形而上学的に考えると案外理屈が通っているのではないかと思わされるのが面白いところです。

「誤りから救うもの」は短い自伝、「光の壁龕」は光をモチーフに神秘思想を述べています。
全体として新プラトニズムの影響を強く感じました。

少しマニアックですが、もし興味があれば中世イスラームの入門として最適な本です。

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[ 2015/04/11 17:17 ] 今月のお奨め本 | TB(0) | CM(6)
奥さんの知り合いのクウェート人がよく日本に遊びに来るのですが、ハラルの問題など食事に気を使うのはもちろんですが、それ以外の物事の考え方がどうなのか非常に気になります、もちろん人それぞれというのはあるのでしょうが。
イスラム教や、その文化について分かりやすく解説してくれる本はどんなものがあるのでしょうか、お勧めがあれば教えて欲しいです。
[ 2015/05/17 00:49 ] [ 編集 ]
>招き猫の右手さん

イスラムの入門書では以下が定番で内容もしっかりしています。
片倉さんのものがより目的に合うのかなと思います。

イスラームとは何か 小杉泰
イスラーム文化 井筒 俊彦
イスラームの日常世界 片倉もとこ


専門家のものは少し古くかたいものが多いので現在のイスラムの人々を知るには体験記がいいのかもしれません。
私が未読で読んでみたいと思っているのが

住んでみた、わかった! イスラーム世界 松原 直美

ドバイでの体験記なのでクウェートの文化と近いと思います。
[ 2015/05/17 12:14 ] [ 編集 ]
ひとまず、イスラームとは何か、を読みました。
成立過程から分かりやすく書かれていて、非常に読みやすかったです。
次は片倉さんのイスラームの日常世界を読んでみます。
[ 2015/05/24 21:13 ] [ 編集 ]
>招き猫の右手さん

分かりやすかったということでよかったです。

片倉さんはまだ生きておられるのかなと調べてみたら一昨年に亡くなられていました。
ちなみにご主人は片倉邦雄さんで外務省キャリア組のアラビア語専攻一期生で、湾岸戦争時のイラク大使です。
[ 2015/05/25 00:03 ] [ 編集 ]
片倉さんの本も読みました。
なかなか読み応えあり、良かったです。
[ 2015/07/08 23:12 ] [ 編集 ]
>招き猫の右手さん

日本語で読める中東関係のよい本ってやっぱり少ないんですよね。
もう少し研究者の厚みが出てくれればいいんですけど。
バランスの取れた見方ができる人が少ないですし。
[ 2015/07/09 00:46 ] [ 編集 ]
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