人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

平和的な宗教

シリアの人質事件で感じたことの続きです。

今回の事件はイスラムの過激派が起こした事件です。
大抵の穏健なムスリムは過激派はイスラムの教えを曲解しているとか、本当のイスラムは平和的な宗教だといいます。
ムスリムだけではなく、イスラムの研究者などもそのようにいうことがあります。

少し前のイスラム研究者にはイスラムは女性を大事にして、他宗教にも寛容な宗教だと主張する人が多くいました。
ムハンマドの時代に戦争で夫を亡くした未亡人のために複数の妻を持つことを許したり、オスマン時代にはユダヤ人などの多民族が比較的平和に暮らしていたことをその証拠に挙げていました。
一体いつの時代のことを言っているんだ、現代的な価値に迎合させてどうするんだ、学者が批判的な精神を失ってどうするんだと不思議に思ったものです。

宗教の価値が現代文明が持つ価値によって評価されることが多くあります。
当然と言えば当然です。
グローバルに通用するのは現代的な価値だけですから。
イスラムは本当は平和的な宗教だという人も私には現代文明の価値に重きを置いているように見えます。
しかし現代的な価値で判断するのなら宗教そのものに意味があるのかどうか疑問です。
現代で普遍とされる価値を補助する位置にしか宗教が存在できないことになるからです。

宗教は正義や価値を与えます。
習俗や習慣といったものにとどまらずに、正義と悪を区別することになります。
聖書やクルアーンに記述されていることを正義の源泉としたときには現代的な価値と衝突することが多々あります。
遠い昔の時代背景から生まれた聖書やクルアーンが現代の価値とは両立しないのは当然のことです。
もちろん宗教は常に時代の変化に対応できる柔軟なものです。
常にその解釈は変化してきました。
憲法の解釈が時代に合わせて変化してきたことと同じです。

現代に生きるほとんどの信仰者はそのような解釈の変化を受け入れて現代的な価値と両立させています。
しかし正義の源泉がある以上は常に本来の解釈に戻ろうとする人が出てきます。
そのような人たちが現代的な価値から過激派とみなされるからといってその宗教の本質から外れているかは別問題でしょう。

善人や悪人の割合は信仰者と無神論者では変わりないか、あるいは信仰者のほうが善人のほうが多いかもしれません。
しかし過激派が生まれるのも宗教の性質上逃れることができないものです。
そして人は相対的なものでは満足できないことが往々にしてあります。
そこに目を背けてただ本当の教えとは違うと言ったところで意味がないと思います。
結局は現代文明というシステム下で許容されるあり方を目指すしかありません。
そのときには絶対的な価値を与えるはずの存在が価値の制限を受けるという矛盾が生じますが、矛盾こそ人間の存在の面白さです。

もちろん現在正しいとされている価値はいつ覆るかわかりません。
一つの宗教が支配する世界が来る可能性は十分あります。

ところで私は宗教学が好きでよく本などを読んでいます。
私にとって宗教の本質とは世界の解釈の仕方を与えてくれることです。
世界をどのように説明するか。
論理性を重視する哲学と神という公理を演繹していく宗教は似ていると思います。
世界を解釈したいと思うときにそこには正義とか不信仰者は排除される存在ではありません。
ただただ解釈する対象として存在しています。
なぜ神は悪人の存在を許すのか。
悪人を排除するのではなく、何故存在しているのかを問うのです。
信仰を持たない私にはそのような世界の解釈の仕方が面白いのです。

現代ではムスリムの人口が順調に伸ばしており、キリスト教に迫っています。
果たして私が死ぬ頃にはどうなっているのか。
まだまだ死ぬまでの暇つぶしには事欠かないようです。
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[ 2015/02/21 17:56 ] 社会 | TB(0) | CM(2)
宗教は面白いですね。
ムスリムも多くが世俗主義になって、現代的価値観との折り合いをつけるとき、大きな革新があるかもしれないですね。ムスリム向けのシャリア金融とか確実に変わってきてるところもあるようですから。トルコあたりはその例になるかもしれませんが。
日本もガチガチの仏教や儒教的道徳から解放されてから急激な現代的経済発展を見たとすると同じ事はイスラム世界にも起こるかな。
[ 2015/02/21 21:26 ] [ 編集 ]
>招き猫の右手さん

イスラム金融は価値の折り合いをつける典型的な例ですね。
以前に仕事でイスラム金融のことを調べる機会があってこんな形式的なこじつけでクリアできるならシャリーアに何の価値があんねんと思いましたが、そういう柔軟性を持てる国が発展していくのでしょうね。

イスラム世界は当分は厳しそうかなと思っています。
産油国をはじめとして世界への影響力は確実に落ちてきており、目立つのは過激派ばかりになってきています。
宗教人口は増えているのに世界での存在感が薄れているのは不思議です。
まずは部族主義的な政治からそろそろ脱却しないといけないと思うのですが。
[ 2015/02/22 00:17 ] [ 編集 ]
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