人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

自己責任論のくだらなさ

シリアでの人質事件が残念な結末となりました。
解決するまでは何かを述べることは気が引けたのですが、結末を迎えたので少し感じたことを書いておこうと思います。

このような事件が起きると自己責任論を述べる言説が少なからずみられます。
起業の失敗、貧困や山や海での遭難などでもよく言われます。
私もアーリーリタイア後に突発的な事態が起きてお金に困ることがあれば自己責任だと責められるのかもしれません。

毎回思うのですが自己責任だと責め立てることによって何を求めているのか分かりません。
何らかの苦境に陥っている人を責め立てることに喜びを見出しているのでしょうか。
自己責任だから一切助ける必要などないということでしょうか。
自己責任だから社会のリソースを使うなということでしょうか。

ただ責め立てるネタを探し続けているようなタイプを除くと自己責任論には2種類あるように思います。

一つは真面目に努力している自分と努力していない他人に分けるタイプです。
例えば貧困を自己責任とするようなケースです。
貧困は自己責任なのだから生活保護などで援助するのは反対だというようなことはよく聞きます。
自分はきちんと努力と苦労をして生活をしているのにそうでない人間が社会から援助を受けることは許せないという意識があります。
真面目な自分のほうが損をしているという意識は大抵の人が持っています。
仕事をチームで行った時にほぼ全員が自分が他の人より多く仕事することになり損したと感じるという心理学の実験結果があります。

もう一つは社会常識などからはみ出さない自分と常識を乗り越えてしまう他人とに分けるタイプです。
世の中には社会的な常識など意に介しなかったり、もっと重要な何かのために行動したり、危険な挑戦を行う人がいます。
戦争ジャーナリストや登山家、起業家、歌手などはそれぞれ大きなリスクを背負います。
危険なことをする場合は命にもかかわります。
このような自分には出来ないことをする人が何らかの失敗をして苦境に陥ると自己責任だという人がいます。
ロックミュージシャンを目指していたが夢破れてワーキングプアになった甥をほらみろ自己責任だというようなおじさんとかでしょうか。
特に日本や政府と一体化するような人たちは今回のように政府の警告を無視したような行動をとった時には激しい怒りをぶつけます。
日本や政府という従うべき存在を無視したにも関わらず助けを求めざるを得ないという事実に怒り、そして嘲笑したいのでしょう。

私はこのような自己責任論に何の意味があるのか疑問に思います。
自分ができることをできない人に対して馬鹿にするか、自分ができないことをできる人の失敗に対して嘲笑する意味しかないように思えます。
そしてそこには現在そのような苦境に陥っていない人間が苦境に陥っている人を責め立てるという下劣さしか感じません。

自己責任を持ち出しても意味がないのはそれは自明なことであって持ち出す必要もないことだと思うからです。
登山で遭難するのも、豊かな暮らしができないのも、家が災害に合うのも、過労死もすべては自己責任です。
少なくとも大人は選択する自由を与えられています。
選択をした以上は自分で全ての結果を引き受けなければなりません。

ではすべては自己責任だから何の支援も必要ないかと言えばもちろんそうではありません。
政府や社会はできうるあらゆる支援をする必要があり、そのために政府や社会が存在しているはずです。
労働環境を良くしたり、セーフティーネットを整える努力をするのは当然のことです。
しかし政府や社会ができることは当然限られています。
貧困層を全て中流層の生活に引き上げるのは不可能でしょうし、山で遭難したからといって全国の自衛隊員すべてを救援活動に使うのも不可能です。

今回の人質事件でも自己責任とは関係なく政府としてできることをするのは当然だったと思います。
もちろんそこには色々な制限があるはずです。
テロリストの交渉方法や他国との外交関係が制限になったでしょうし、そもそもイスラム国との交渉能力がなかったのかもしれません。
それは仕方のないことです。

責め立てるのを目的にしたような下らない自己責任論を目にするとやはり人は他人を嘲笑したり、他人の苦境を楽しみたいものなのだなと思ってしまいます。
私にもそういう気持ちがないとは言いません。
行きつけの喫茶店で週刊現代などで下衆な記事を読んで楽しんでいる自分がいます。
それでも社会としてもう少し懐の深さがあってもいいのではないかと思います。
挑戦する人たちが社会の多様性や進歩に大きな貢献をしているはずですし、うまくいかない人生でも助けを差し伸べられる社会には安心感があります。

学生時代に1か月ほどシリアを旅行した時はいい思い出ばかりでした。
早く平和な国になることを願うばかりです。
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[ 2015/02/07 11:48 ] 社会 | TB(0) | CM(10)
面白いです
「自己責任論」・・・非常におもしろいです。仰られているように、それによって、何を求めているのかさっぱり分らないからです。ある方がFBにこう欠いていらっしゃいました。「・・・リスクコントロールの弱さは。可哀想だとは思いますが、それ以前に腹が立ってしょうがないんですよね。」腹が立つ・・・何に?それが自分とはまったく関係がないのにです。正義の問題でもない。倫理の問題でもない。でも、「腹が立つ」と仰るのです。この怒りは一体何なのか?不思議な世の中です。
[ 2015/02/10 17:13 ] [ 編集 ]
多分ですけど、嘲笑というよりは関わりたくないって気持ちじゃないでしょうか。
危なっかしいマネをしてこっちに火の粉を飛ばすんじゃないよ!みたいな。
迷惑行為お断り的な。
[ 2015/02/10 22:08 ] [ 編集 ]
>ケンケンさん

「腹が立つ」というのは確かに不思議なことですね。
現象を目の前にしてただ腹が立つというのはどういう意味があるのか突き詰めてみると面白い現象かもしれません。
何となく脳神経学的に説明がつくかもしれないように思います。
腹が立ってもその意味をいったん考えてみることができればいいのですけどね。

>yamyasさん

確かに迷惑なという感覚を持つ人もいるでしょうね。
外務省の人など直接業務に関わる人がそうかもしれないですし、国家の高度な外交政策を担っている俺たち政治家の邪魔をしやがってと思う人もいるでしょうし。

ただ一般国民は自分の問題とみなしようがないので純粋にショーを楽しんでいるのかなと思います。
国家と自分を一体化しちゃう人は別として。
[ 2015/02/11 00:30 ] [ 編集 ]
>
危なっかしいマネをしてこっちに火の粉を飛ばすんじゃないよ!

目立つことで日本人がテロのターゲットにされるリスクが
数%増したのは確かだと思います。

しかし、平和ボケ日本人の目を少しだけ覚ますのに貢献したという点で・・・差し引きゼロぐらいの感じだと思います。

個人的には、行き当たりばったり(無鉄砲)でもやさしさ溢れる人間は
どこか憎めないね。
[ 2015/02/13 10:10 ] [ 編集 ]
>ssさん

いずれにせよメディアや政治の世界がにちゃんねる化して、右も左も寛容性や知性を失っているのは情けないことですね。

戦前から何も変わっていないのかもしれませんが。
[ 2015/02/13 23:47 ] [ 編集 ]
現在は、戦前と比べ、殺人発生率は明らかに低下していますし
世界的にも戦争・紛争による死亡率は確実に低下しています。

全体的には、人間がいわゆる肉食系から草食系化しているという点では
平和化していると言えそうです。

メディアや政治の世界がにちゃんねる化した分
右も左も寛容性や知性を失っている様子が目立つようになってはいますが・・・
[ 2015/02/14 05:36 ] [ 編集 ]
>ssさん

その通りですね。
死因で殺人が占める割合の減少傾向はもう少し続くのでしょうね。
一方で社会システムや経済の発展により殺人や紛争が減少しても、人の他者依存による自己確立、承認要求や内からの暴力衝動など、より本性に近い部分はいつまでも残るのだと思います。
それが分かり易く表れるのが政治やメディアなのでしょう。
[ 2015/02/15 00:45 ] [ 編集 ]
ケンぺス
アメリカと一緒になって軍事行動を起こそうと日本政府が目指せば、イスラム教徒から敵視される可能性は格段に増えるでしょう。日本政府の政策によって敵視され拉致されることが自己責任であっさり片づけられるのでしょうか。いくらこちらが善意でも海外に軍隊を送ればそれを敵視する連中は必ずいます。

アメリカ、イギリスを始めとした国はテロ組織と交渉しないと言いながら裏では色んな交渉カードを持ってるようですが、日本は何もないみたいですね。今回もヨルダンに縋るだけだったようです。集団的自衛権に踏み込みたいのならまずそれ以前の諜報工作機関の整備から始める必要があるんじゃないのかと改めて思いました。
[ 2015/02/15 02:24 ] [ 編集 ]
日本はどこに向かうんでしょうかねえ。
永世中立国スイスのような自立した軍隊を持つキャラでもなし
ロシア、中国、欧米などの力関係のなかで
なんとか溺れないように泳ぎ抜いていければいいのですが・・・

近藤さんについては、結果的には
国際的な日本の立ち位置を再確認できたという点で
ある意味、一定の貢献をしたと思います。
しかし、二番煎じ(第二の近藤さん)は、もうこりごりという感じですね。
[ 2015/02/15 05:15 ] [ 編集 ]
>ケンぺスさん

西欧諸国は中東との長いかかわりがありますからね。
衝突が多い一方で様々なルートがあるのでしょう。
日本の場合は関わりと言えば石油ぐらいですから、一から様々な関係やルートを構築するのは難しいのでしょうね。
外務省でもおそらくアラブ系の外交官は予算も権力も持っていないでしょうし。
歴史的な関わりが少ないからこそ日本に対して友好的な人たちが多いのも事実でしょうし難しいところですね。

個人的には国際関係の中で高度な戦略を必要とすることは関わらないほうがいいように思います。
ころころ首相が変わる国では長期的な戦略を立てられそうにないですし、これまでの首相たちを見てるとそんな難しいことができそうに思えませんし。

>ssさん

>ロシア、中国、欧米などの力関係のなかでなんとか溺れないように泳ぎ抜いていければいいのですが・・・

難しいのでしょうね。
ただ国際社会で少々負け続けても欧米とうまくやっておけば何とかなるのだろうと思います。
なんだかんだ言っても日本の一般庶民は他国よりはポテンシャルが高いので国全体としては溺れることはないように思います。
最近はそうも言ってられない状態かもしれませんが。
[ 2015/02/16 00:00 ] [ 編集 ]
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