人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2014年9月のお奨め本

2014年9月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・Another (綾辻 行人)

夜見山北中学に転校してきた榊原恒一はクラスで不思議な少女と出会います。
彼女は何故か同級生と交わろうとせず、同級生も彼女がいないかのように振る舞っていました。
あるときクラスの一人が校内で事故で亡くなる事件が起き、それから毎月クラス内の人間とその家族が亡くなっていきます。

学園ものホラー小説です。
恐怖感はあまりなく、降りかかる災難を分析してそれにどう対応するかというようなことが面白いです。
ホラー小説なのですが、本格推理の作家だけあって謎を解くという要素も含まれています。
内容の割には長すぎ、最後に明らかにされる謎の真相が若干インパクト不足でしたが、本格推理の著者らしい楽しめるホラー小説です。




・生き生きした過去: 大森荘蔵の時間論、その批判的解読(中島 義道 )

中島義道による大森荘蔵の思想の批判的解説です。

大森の独我論は他の論者とは違い私という存在を設定しません。
世界が私であり、私が世界を見ているのではありません。
情実でさえも世界そのものが有しています。
このような独特の世界を論じる大森の魅力を中島は哲学の弟子として敬愛を込めて論じています。

大森は一元論にこだわりつつもリニアな物理的時間からも中々逃れられませんでした。
そのことで「立ち現われ一元論」は過去の問題への躓きとなり、導かれた議論は中島はグロテスクなものと言います。
そして後期の「言語的制作論」への転回過程を中島は批判的にも丁寧に解説します。

中島のエッセイはよく読まれています。
しかし中島の時間論やカントに関する著作はエッセイの何倍も味わいがあり読む価値があると思います。
エッセイはあまり読んでも意味がない文章が多すぎます。

本書は中島の大森への敬愛が本当によく伝わってきます。
中島が信頼を置き、人間的な情を持ったのは大森以外いないのではないかと思えるほどです。
大森の思想とその問題点をかなり批判的に書いているのですが、どこまでも敬愛の念が伝わってくるのです。
敬愛の念をここまで込めた批判的解説書はなかなかないのではないでしょうか。
解説も分かり易く、お薦めです。




・江戸思想史講義 (子安 宣邦)

江戸の思想家を取り上げて解説しています。
中江藤樹、山崎闇斎、伊藤仁斎、三宅尚斎、荻生徂徠、中井履軒、賀茂真淵、本居宣長が取り上げられます。

本書は江戸の思想家を体系的に解説するのではありません。
そのためある程度の知識があったほうがこの本の良さをより味わえると思います。

どのような思想であっても時代が求める姿に調整されて探求されます。
明治期の日本は作り上げようとした国家観から江戸の思想家が再発見されました。
例えば荻生徂徠はホッブズと並べて受容されます。
それに対して著者はもう一度江戸時代に視線を置いて彼らを論じようとしています。

彼らが先人たちの思想や文献をどのように読み解いて自らの思想を形成したのか。
彼らが生きた時代の状況から彼らはどのように思想を打ち立てて、そして社会やほかの思想家からどのように受容されたのか。
これらを丁寧に紐解き解説しています。

思想というのは普遍に通じる部分と時代によって常に変化する受容のされ方の両方を探求しなければならないと思わされます。

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[ 2014/10/12 12:08 ] 今月のお奨め本 | TB(0) | CM(0)
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