人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2014年6月のお奨め本

2014年6月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・ジョーカー・ゲーム (柳 広司)

太平洋戦争前に結城中佐が極秘にスパイ養成機関を設立しスパイを養成します。
彼らスパイの頭脳戦を描いた短編集です。

解説によると筆者は陸軍中野学校と初代校長の秋草俊をモデルにしているそうです。
いわゆるスパイ小説ではなくミステリです。
推理ものではないですが、起きている現象の隠された意図が徐々に明らかになっていくような展開です。
登場人物をスパイとしたのは中々面白く新鮮ですが、スパイ小説を書くのではなく、ミステリを書くためにスパイを選択したように思えます。
あまり印象に残るような小説ではないですが、テンポよく読めて楽しめます。



・ヨーロッパ政治思想の誕生(将基面貴巳)

12世紀から14世紀までのヨーロッパの政治思想を概説しています。

政治思想と言えばアリストテレスの政治学から一挙にマキャベリへと一気に飛んでしまうことが多いと思います。
せいぜいトマスやアリストテレス革命に言及するぐらいでしょう。
しかし当然のことながら中世にも芳醇な人々の政治的営みがあったわけで中世の政治について研究している人はいます。
著作は一般の人にも日本語で読める中世の政治思想の概説書として非常に意義のあるものだと思います。

主に3つのテーマを軸に時代順に語られます。
一つは政治共同体の捉え方です。
キリスト教では原罪を負う人間が作った必要悪とみなします。
一方でアリストテレスは政治的な動物である人間が善き生き方を実現するためのものとみます。
この相容れない考え方が実際の中世の政治、社会状況から様々な思想が生み出されていくことになります。
二つ目は権力についての様々な論争です。
特に興味深く思われたのは教会法学が占めた地位についてです。
歴代のローマ教皇が教会法学の専門家であったようにキリスト教で出世するために官僚としての必須の知識であったのが教会法学だったのでしょう。
教会法学者とその重要性を低く見る神学者との論争、清貧論争や聖俗両権の対立など現実の教会内外での権力闘争はとても興味深いものでした。
三つ目は思想家の学問的背景です。
神学者や教会法学者たちだけでなく、ダンテやマルシリウスのような教会外の思想に世俗化の兆しを見ることができます。
彼らやあるいはオッカムらの思想が聖書主義、歴史的聖書解釈、教会統治の変革へと繋がっていきます。

それほど大部な書物ではないため、言及されていない思想家や思想はたくさんあるのだとは思います。
しかし初心者に分かり易く、学説史についても言及しつつ中世の政治思想のエッセンスを著者の観点からまとめた本書は素晴らしいと思います。
私は中世哲学についてばかり興味を持っていたのですが、これはもっと政治についても本を読まなきゃならんなと思わされました。
必読書です。



・知の教科書 論理の哲学 (飯田隆編)

論理学を各テーマ別に専門家が解説しています。
論理学の歴史、パラドクス、数学との関係、哲学との交錯、計算機科学や自然言語と論理の関係などが解説されています。

哲学に関する本を読んでいるとよく論理学の話題が出てきます。
ゲーデルの不完全性定理などはよく出てくる話題ではないかと思います。
あるいはウィトゲンシュタインやカルナップは論理学を応用して哲学的問題に利用した哲学者として知られています。
しかしこの論理学というやつはなんだか難しそうです。
嘘のパラドックスなどはまだしも、完全性定理だの不完全性定理だのなんやねんと私も思います。

この素人にはとっつきにくそうな論理学について平易に解説してくれる入門書です。
平易と言っても私には難しかったです。
特にゲーデルの不完全性定理の証明の解説はよくわかりませんでした。
しかしここ100年の論理学の進展と論理学がどういうことを解明しようとしているのかは何となく理解できたような気がします。
私が特に興味深いと思ったのは直観主義論理と古典論理との関係、フレーゲの論理主義とその後の論理主義の歴史、言語や計算のアルゴリズムと論理との関係などです。

おそらくきちんと理解できていないことだらけだと思うので、別の論理学についての本も探して読んでみようと思います。
興味がある人には入門書としてお薦めですが、興味のない人には何が面白いのかさっぱり分からないでしょう。

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[ 2014/07/13 19:25 ] 今月のお奨め本 | TB(0) | CM(2)
ジョーカー・ゲーム、私も読みましたが面白かったですね。今この方の別な本(ソクラテスが探偵役)を読んでいますが、こちらも面白いですね。著者は博識な方だと思いました。短編であえてさっくり実務的に書かれている印象ですね。

大学で「哲学」という名前の授業で論理学を学んだ記憶が。私も理解不能なところばかりですが、哲学の問題を論理学や言葉の問題として扱うといった話を土屋賢二のユーモアエッセイでよく読みますね。
[ 2014/07/13 20:43 ] [ 編集 ]
>成為さん

私は柳さんの本は今回初めて読みました。
今調べたのですが、ソクラテスやダーウィンが探偵役の小説を出しているのですね。
夏目漱石関連など面白そうなタイトルが並んでいるので他も読んでいこうと思います。

論理学はほんとに頭がこんがらがりますね。
形式言語などを持ち出してなぜそんなことを証明する必要があるのかなどと思ってしまいます。
[ 2014/07/14 00:06 ] [ 編集 ]
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