人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2014年3月のお奨め本

2014年3月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・たった1%の賃下げが99%を幸せにする(城 繁幸)

日本型雇用への批判の書です。
日本型雇用の特徴とされる年功序列制度こそが企業の競争力を低下させ、世代間格差を生み、それのみでなく高齢者に対しても仕事への希望を奪っているとします。
そしてそれを解決するには同一労働同一賃金しかないと著者は主張します。

かなり議論が雑で荒っぽいです。
本当にそう言えるのかという疑問を持つ箇所はかなりありました。
例えば同一労働同一賃金が本当に著者が問題とすることを解決できるのかどうかは疑問があるし、職務給が進んでいるヨーロッパが果たしてどれほどうまくいっているのか疑問です。
あまり厳密な議論を期待するような本ではないので1日でさっと読み流すだけでよいと思います。

しかし著者の主張自体はご尤もと言えるものばかりで、私も職務給への移行は全面的に賛成です。
職能給の一番の欠点はライフスタイルに応じた働き方を阻害することです。
職務に応じた賃金を支払うのではなく、年齢に応じた賃金を支払うのでは労働者を一つの職場に縛り付けることになります。
それは結局女性や非正規、フリーター、家庭の事情などによる退職、休職などを排除することになります。
そして仕事の実績ではなく、ただ脱落することなく長期間務めたということで収入が決定されることになります。
そのような社会が閉塞感を持つのは当然だと思います。

この本が出版されたのは2009年ですが、果たしてそれから日本の雇用制度は少しは改革されたのでしょうか。
表面的には全く変化していないようにも思えます。
しかし働く側の意識、特に若手の有能な社員は変わってきているようですし、会社側も変わっていかないと経営が厳しくなってくるということは自覚しているように思います。
おそらく団塊の世代は逃げ切ることでしょうが、少なくとも会社は団塊の世代が退職するとかなり変わるでしょう。
問題は国民の退職は死ぬことなのでまだまだ国全体としては年功序列で高齢者への分配が優先されるでしょう。
今のところ社会保障改革がなされる気配すら感じませんから。

ちなみにタイトルにはほとんど意味がありません。




・日本の伝統 (岡本太郎)

岡本太郎の日本の伝統芸術論です。
主に取り上げるのは縄文土器、尾形光琳、庭園で、その歴史に触れつつ自分にとっての日本の伝統を語ります。

著者は伝統とは鑑賞するのもではなく感じ取りそこから創造するものだと述べます。
もし現代に訴えかけてくるものがなければその存在する意味はなく、それこそなくなってしまっても良いと断言します。
現在が大事で伝統とは現在があって生きてくるものという態度はやはり評論家ではなく芸術家の態度でその誇りを感じます。

本書では具体例を挙げながら評論家ではなく芸術家として日本の伝統を評価しており、あくまで自分の創作活動にとっての伝統の評価です。
このため岡本太郎という人はどのようなことを考えて創作していたのかを知ることができます。
伝統芸術のどのような点に彼は注目するのか、どのような点で評価したりしなかったりするのか、これらは非常に興味深く読めました。
彼が評価するのは縄文土器と尾形光琳で自然と対峙した力強さを評価しており、一方江戸時代に見られるような形式主義的、観念的な芸術には低い評価しか与えていません。
彼にとって芸術とは観念をいじくることではなく人生をかけて自然と対峙し創造することであり、ディレッタントなものは堕落としか思えなかったのでしょう。

とても読みやすいのでお薦めなのですが読んでいて退屈だったところもあります。
それは芸術の歴史的な解説部分で、大雑把で思いつきにしか思えないようなところが多々ありました。




シャドウ (道尾 秀介)

精神科医の父に持つ小学5年生の凰介は母を癌で亡くします。
凰介には亜紀という幼馴染がおり、両親同士が大学からの友人でした。
凰介の母の死後、今度は亜紀の母親が飛び降り自殺をします。
凰介は徐々に自分を取り巻く人々の真相へと近づいていきます。

本格推理とホラー要素のある精神障害ものの組み合わせのような小説です。
面白いことは面白いのですが、すべての要素で平均以上だけれども全体としては今一つ感があります。

私が評価したいのは凰介の推理の部分です。
伏線のはり方はうまいですし、そこから結論にたどり着くのかと感心します。
ただこんな推理を展開してしまう小学5年生はいないだろとは思いましたが。
賢すぎる凰介ですがその優しさや他者への愛情は読んでいて気持ちのいいものでした。

他のミステリ部分やどんでん返し、それに対する伏線、ミスリードは不自然なところが多く違和感を感じました。
もっと怖いミステリにして最後に驚愕の事実も欲しいところです。
話の展開がうまく引き込まれていくので最後に期待してしまいましたが、少しパワー不足の結末でした。


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[ 2014/04/12 12:05 ] 今月のお奨め本 | TB(0) | CM(4)
いつも為になる話に感謝してます
拙者26歳の若造






と申す。
名前を横書きすると…絶望…(泣)

どうぞ管理人様、宜しくお願いします。


私のお勧めの本。よかったら読んでみてください。
紹介する本は皆、悠々自適生活の大先生だと思う…

ヘンリー・ソロー「森の生活」

つげ義春「無能の人」

オマル・ハイヤーム「ルバイヤート」

マンガ「さよなら絶望先生」
[ 2014/04/20 22:57 ] [ 編集 ]
>糸色 望さん

絶望、うまいですね。

ありがとうございます。

なかなか渋いところをついてきますね。
ルバイヤートだけ学生時代に読みました。

ぜひ読んでみたいとおもいます。
[ 2014/04/21 00:25 ] [ 編集 ]
もともと無理矢理連れ出された世界なんだ
>管理人様へ
ルバイヤートいいでござるよね!

「ルバイヤート」四行詩より
「酒をのめ、それこそ永遠の生命だ、
また青春の唯一の効果(しるし)だ。
花と酒、君も浮かれる春の季節に、
楽しめ一瞬(ひととき)を、それこそ眞の人生だ!」

酔拳の達人w吉田類先生

酒場放浪記 駒込駅 - YouTube
www.youtube.com/watch?v=URYKiehZsrc

ドランクモンキー酔拳 拳法混乱 - YouTube
www.youtube.com/watch?v=HhQRTH_r0ZE
ドランクモンキー酔拳 オリジナル・サウンドお前の目の前に 奇跡 ...

大都会隠居術 (光文社文庫) 荒俣 宏
固定リンク: http://www.amazon.co.jp/dp/4334723209
[ 2014/04/21 01:13 ] [ 編集 ]
>糸色 望さん

ルバイヤートの時代のイスラム文化は興味深いです。

「大都会隠居術」、面白そうですね。
読んでみます。
[ 2014/04/21 23:07 ] [ 編集 ]
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