人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2013年12月のお奨め本

2013年12月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・デフレーション―“日本の慢性病"の全貌を解明する(吉川洋)

代表的なケインジアンによるデフレについての解説書です。
貨幣数量説による価格形成と賃金、資産、一次産品、最終商品を分類して積み上げによる価格形成の考え方の違いを中心に述べています。
特に19世紀のイギリスの不況時のデフレの記述は興味深いです。

概ね納得できる内容でしたが、貨幣数量説への批判などが弱いし展望のようなものも見えてこない本だと思います。
しかも結論は結局経済学はなにも進歩していないのではないかというようなものです。
確かに近年の経済学は数学を駆使してモデルを作ることが業績として認められやすく、現実の経済とはかけ離れたものになっているという批判はよく目にします。

私は逆に経済学にいったい何を期待しているのかと不思議に思えます。
経済学は役に立つものだと思いますが、現実の経済自体をコントロールできるはずもありません。
もしそうならいまだにリーマンショックやデフレーションなどが起こるはずがありません。
社会主義もそれなりには成功したはずです。
リフレ派の人は正しい政策を実行していないからだと主張するのでしょうが。

日本のバブル崩壊後にアメリカの経済学者が好き勝手な批判をしていましたが、おそらく理論的な経済モデルとアメリカの経済構造の観点から批判していたのだと思います。
日本とアメリカの経済構造は全く異なるものであり、日本の経済構造を理解していないと正しい批判はできません。
国によっても時代によっても同じ経済条件があり得ない以上は対象となる経済の現実に即して保守的なマクロ政策をすることしか答えはないと思います。
そしてミクロでは効率的な仕組みをアグレッシブに作り上げていくことが大切ではないでしょうか。

果たして現在の経済では実際にはコントロール可能かどうかも分からない実質金利の低下メリットと日銀のバランスシートと借金の増大リスクのどちらが大きいのでしょうか。



・硝子のハンマー (貴志 祐介)

上場を目前に控えた介護会社の社長室で社長の死体が発見されます。
密室状態で殺害可能だったのは監視カメラを避けて社長室に行くことができる専務だけでした。
逮捕された専務の弁護士である青砥純子と防犯コンサルタントの榎本径がこの密室トリックに挑みます。

本格モノに近い推理小説です。
榎本径と青砥純子のコンビが様々な推理をしてはつぶしていくという手法で真相に迫っていきます。
次々と出てくる推理になるほどそういう考えがあるのかと思っては否定されていくのが楽しいです。
二人のコンビも距離感が程よくてシリーズものにぴったりだと思います。

派手さはなく感情移入をするような小説ではないですが、ディティールに拘った本格系が好きであれば面白いと思います。
少し大部ですが一気に読めます。



・働かないアリに意義がある (長谷川英祐)

アリやハチなどの集団で生活する生物について集団を維持形成する仕組みとそのような仕組みを持つに至った理由を進化の過程から最新の知見も取り入れやさしく解説しています。

アリを観察すると働いていないアリが常に7割ぐらいいるそうです。
これらのアリは仕事をするための閾値を持っていてその閾値を超えないと働きません。
この閾値が多様なため常に働くアリもいれば仕事が忙しいときだけ働くアリもいることになります。
これにより労働バッファを用意することができて、巣が崩れたり、敵が攻撃してきたり、大量の餌を発見したりという突発的な事態にも対応できます。
人間のように高度な分業ができないアリが作り上げたシステムと言えるのでしょう。

このほか全く働かないアリの存在や、どうして子供を産まないワーカー、つまり自分の遺伝子を残せないアリがせっせと働くのかなどを進化生物学ではどのように考えられてきたかを説明しておりとても興味深いです。
女王がメスを産む場合は自分のクローンを、オスを産む場合は王のクローンを産み、集団内のオスとメスに遺伝的関係がないという種類のアリがいるのそうなのですが、これが一番びっくりしました。


進化生物学についてはよく知らないですが、遺伝子を残すことが進化の目的と言い切った説明がどうにも気になりました。
子供を産めるワーカーが子供より兄弟の世話をするのは遺伝関係がより近いからとか、子供を産めないワーカーは集団で働くことによって遺伝関係が近い仲間のために働くという説明があります。
このようなワーカーを産むことができる女王は進化したのかもしれませんが、ワーカーにとっては進化と言えるのか疑問を持ちました。
集団を一つの個体として考えればいいのかもしれませんが、行動そのものと遺伝子を残すという進化論的な目的の説明が逆なのではないかと感じます。
このあたりの知識がないので素人の感想ですが。

著者が人間社会に言及する箇所がいくつかありますが、非常につまらなくもったいないと思います。
タイトルが狙ったようなものなので少し人間社会にも触れておこうと思ったのかもしれません。

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[ 2014/01/13 13:05 ] 今月のお奨め本 | TB(0) | CM(0)
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