人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

努力が報われる社会と格差社会

格差社会という言葉が人口に膾炙するようになったのはいつごろでしょうか。
20年ほど前に私が社会人になったころには耳にしなかったように思います。
私が社会人になったころには就職氷河期で正社員になることができない人やリストラで退職した人が増えており、非正規雇用が多くなってきたころです。
同時にドットコムバブルなどがあり、億万長者になる起業家や株で儲けた人も目立つようになったころでこの頃から格差社会と言われるようになったのかもしれません。

実際に格差社会が進んでいるのかどうかははっきりとは分かりません。
ひとり親世帯が増えたこと、高齢者や女性の労働参加が増えているためにそう見えるだけだとか、再分配後のジニ係数は変わっていないとかいう見方もあり、様々な要素が絡んで何とも言えないでしょう。
しかし中高年男性の正社員の収入が下がっており中間層が減っているとは言えるのではないでしょうか。
私自身の経験した範囲でも若いころには大企業には高収入の中高年の社員が多くいたのに、最近は組織のフラット化もありヒラの中高年社員の収入はかなり減っています。

人々がどのような数値を見たり、実感を持って格差社会を当たり前のように言っているのは分かりませんが、格差社会が叫ばれるようになったのは日本が実力社会に移行していることがあるのではないでしょうか。
そのため貢献度よりは結果の平等を求める人が格差社会への非難の声を上げているのでしょう。

ここ10年ぐらいで年功序列や学歴という実力以外の要素の比重が大きく下がってきました。
昔は一流大学を卒業して一流企業に入社してしまえばそれ程出世しなくてもかなりの収入が見込めました。
一流大学ではなくても公務員の地方上級ぐらいでも受けておけばこれまた仕事しなくても生涯安泰でした。
一流大学に入るためには高校の2年ほど一生懸命勉強すればいいだけのことです。
公務員試験であれば半年ほど勉強するだけです。
その後の仕事の実績による収入格差はそれほど大きくありませんでした。

けれども今では学歴で大企業に入社することはできてもその後の保証なんてありません。
40代になってもヒラであれば大した給料をもらえません。
一方で実力を発揮して役員にまでなれば以前よりはるかに高い報酬になっています。
また企業は即戦力の中途採用を積極的にするようになってきていますし、大企業から高収入のベンチャー企業に転職する例も増えています。
最近私の友人で誰もがしる大企業の派遣社員から正社員になった人がいますが、そんな時代なのかとびっくりしました。

企業内での収入格差も大きくなってきていますし、転職でキャリアアップしていく人と一つのところに止まる人との格差も大きくなってきています。
私自身の経験でも若いころに仕事を頑張り転職でキャリアアップしたからこそ、新卒の会社の同期よりかなり高い収入を得られたのだと思います。
もし10年早く生まれていればこのようなことは無理だったでしょう。

仕事だけではなく、資産運用や結婚といったものもそうかもしれません。
昔は一般の人にとって投資は身近なものではなかったですしコストや手間がかかりましたが、今では投資の環境が整えられています。
基本的な投資の勉強をして資産運用をしている人と投資は怖いといって何の勉強もせずに円の定期預金だけの人では資産の格差が出てしまいます。
結婚も昔は職場恋愛や見合いが多かったのが現在では特に親戚のおばちゃんなどからの見合いが減っているので、結婚したければ自分で動くしかありません。

これまでは努力したところで得られるものが少なかったのかもしれません。
どのような社会に属しているかが大事だったり、努力しない人と得られるものはそんなに変わらないということがありました。
友人の大阪府の公務員は結果を残したご褒美は給料アップではなくさらに押し付けられる仕事だけだと嘆いていますが、民間でもそんなものだったでしょう。

けれどここ10年ぐらいで実力主義社会になってきており、個人の努力が報われるようなってきていると思います。
そのため高収入の人や資産運用で富を築いた人、あるいは大企業の正社員が目立つようになり、格差社会と言われるようになってきたのではないでしょうか。
けれども実力社会というのは中間層がいないということではありません。
これまでは貢献度が高い人、非正規雇用や女性の収入が抑えられて中高年男性への高収入を支えていただけではないのでしょうか。
実力主義の社会のおかげで転職が容易になり、まだまだ所得は低いといえど女性の自立が進んでいます。
全体として社会は効率的になり、女性だの低学歴だのといった理由だけで低所得に甘んじる必要がなくなりつつあります。
しかし、現状の環境に満足できずに以前の社会であれば自分はもっと恵まれていたはずだと考えてしまう人には不当な格差社会に見えるのでしょう。

これまで日本は機会の格差が大きく、結果の格差が小さい社会だったのではないでしょうか。
所得の再配分で機会の格差を小さくして、効率的な経済活動を促進する結果の格差を大きくすることが豊かで自由な社会になっていくと思います。
結果の格差は個人の自由と豊かさを支えるものだと思いますが、この個人の自由という結果の責任を伴うものに耐えられない人が多いというのも事実です。

人が他人と比較して嫉妬したり、自分の現状の責任を他者に転嫁してしまうのは平等な共同体を求める本能的なものなのかもしれません。
まだまだ時間がかかるかもしれませんが、労働の多くをロボットやコンピュータが行う社会が到来した時には一握りのおお金持ちはいるけれど、その他の大多数はそこそこ豊かで嫉妬心というのも無くなっていくのかもしれません。
私が生きている間にもそのような社会に近づいて行けば面白いなと期待しています。

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[ 2019/06/25 16:58 ] 社会 | TB(-) | CM(16)

2019年5月のお奨め本

2019年5月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済 (高槻 泰郎)

世界で初めての先物市場とされる江戸時代の堂島米市場についてまとめた本です。
大阪が日本の台所となり、米市場、先物市場が発展していく過程、市場運営方法、規則、幕府による規制など興味深い歴史が満載です。

現代の人も江戸時代の人も経済的な行動は変わらないのだなあと思わされるような本です。
米が主要な品物になると便利な市場ができ、実物では不便なので米切手が流通します。
藩はやがて実体の米以上の米切手を発行して取り付け騒ぎが起こり、先物市場では凄まじい情報戦が繰り広げられます。
そして実体のない先物市場で儲けようとする批判が起こったり、幕府の規制も入ります。
現代と何ら変わりません。
現代の先物市場のような複雑な仕組みではもちろんありませんが、当時から基本的な仕組みはほとんど出来上がっていたように思えます。

平易な文章で読みやすいです。
おすすめです。




・世界を変えた17の方程式(イアン・スチュアート)

私達の世界を変えた方程式を17個選んでその成り立ち、私達の生活にどうかかわっているかなどを解説しています。
取り上げられているのは微積分、重力の法則、波動方程式、相対性理論、正規分布など誰もが一度は聞いたことがあるものです。

面白いです。
この本を読むと本当に方程式の発見が世界を変えてしまうのだと思わされます。
もしかすると方程式が世界史を織り上げて来たのではないのでしょうか。
これらの方程式の一つでもかけていると今の世界は有り得ないでしょう。

こういう本は色んな人のものを読むとふと理解が深まるときがあります。
今回は相対論とトポロジーについてそういうことだったのか思う部分がありました。
他に興味深かったのはフーリエ変換、微積分、マクスウェル方程式などです。
かなり丁寧な解説なので数式の意味そのものを理解するのは難しくても、過去の研究との関係やその後の展開は何となくわかると思います。




・真犯人 (パトリシア・コーンウェル)

残虐な殺害をして服役中だった死刑囚ワデルの刑が執行されます。
しかしその日の夜に少年が殺害された事件はワデルの残虐性を連想させるのもでした。
そして連続殺人事件へと発展して、現場からはワデルの指紋が検出されます。
ワデルは本当に処刑されたのか、真犯人は何者なのか、女性検視官ケイが謎に挑みます。
検視官シリーズの第4作。

あっという展開などはないのですが、事件は残虐で怖いし、検視のシーンも面白いし、主人公のケイの苦境にハラハラドキドキしながら一気に読んでしまいました。
検視官シリーズの重厚感がよく出ています。




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[ 2019/06/09 18:23 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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