人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

経済成長を制御可能だと考える人

リーマンショックを予見できなかったり、デフレを克服できない現状からエコノミストを批判するような記事を見ることがあります。
これまでの経済学、特にマクロ経済学は経済政策には役に立たない代物であり、エコノミストは前回の消費増税の悪影響もきちんと予測できなかったなどと述べます。

もしエコノミストや経済学が現実の経済政策に役立たないのならどうすればいいのでしょうか。
不思議なことに批判する人たちは経済学から答えを出そうとします。
古いケインズ的な財政政策であったり、世界標準の金融政策のイノベーションを利用するなどと言います。
要するに俺は正しい経済学を知っており、正しい経済政策を知っているというのです。

一方、アメリカではトランプさんがアメリカの好景気は自分のおかげだと述べています。
安倍さんは日本のそれなりの好景気はアベノミクスの成果だと誇ります。
そして世論調査などで国民が政府に求めるのは景気対策です。

これらのようなことを目にすると、経済成長は人為的に制御することが可能であると考える人が多いように思えます。
多くの人が経済を制御可能と考えるなら政府に大きな役割を求めることもうなずくことができます。
日銀がデフレ経済の元凶だとか、財政を拡大して成長を促しそれによる税収の拡大で財政も維持可能などと言うような論理も受け入れられるのも分かります。

経済学は大きな発展を遂げてきましたし、社会にも大いに貢献してきただろうと思います。
しかし、景気のコントロールや経済成長をも操作可能なところまでは来ていないですし、おそらくそういう日は来ないのではないでしょうか。
医学は発展してきましたが、未だに不老不死は実現できていないです。
不老不死でさえまだ実現できていないのに、より複雑な経済成長の制御なんて達成できるはずがありません。

ほとんどの経済学者は金融政策は需要の先延ばしにしたり前倒しする効果でしかないと考えていると思います。
金融政策によっては中長期的な経済成長を促すことはできません。
結局は潜在成長率を上げていくための地道な政策を積み重ねるしかありません。
それも経済成長を促すための土壌作り以上の効果は期待できないでしょう。

どんなことでも専門家に過剰に期待するのは間違っています。
専門家だけでなく、レストランのサービスから災害時の行政対応まで完璧な答えや対応を期待するのは不可能です。
一方で専門家は積み重ねられてきた知見を持っています。
この知見を活かすことは何より大切ですし、それを利用できないのは社会的に大きな損失だと思います。
しかし、残念ながら専門家に対する過剰な期待と期待を裏切られたときの失望からの軽視が多くみられます。

社会や他人に対する過剰な期待をする人が多いですが、そのような人は簡単に軽薄な希望や政策などに期待してしまいます。
そしてそのような軽薄な希望を満たそうとして生まれるのは無駄な政策です。
ふるさと納税、軽減税率、消費増税対策の5%還元・・・。
残念なことに経済成長を制御するのは難しくても経済効率を悪くするのは簡単なことです。

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[ 2018/11/23 13:58 ] 社会 | TB(-) | CM(5)

2018年10月のお奨め本

2018年10月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・金融政策に未来はあるか (岩村 充)

金融政策は今後も有効なのでしょうか。
現在はもしかすると中央銀行の役割が変わりつつある過渡期にあるのかもしれません。
著者はそのような問題意識をもって物価水準の財政理論(FTLP)、マイナス金利、ヘリマネ、仮想通貨の未来と金融政策について解説しています。

現在の金融政策からすると少し現実性がないのですが理論的には十分可能なアイデアが満載です。
貨幣に利息を付与する場合の金融政策の解説などはなるほどと思わされます。
特に浜田さんが言及することで有名になったFTLPの解説が非常に分かりやすいです。
現実の物価や金融政策を説明するものとしてどの程度妥当するのかは分かりませんが、FTLPから考えていくのは面白いアイデアです。
シムズの理論が紹介された意図には違和感がありましたが、著者の解説を読んで非常に示唆に富む理論だと思えました。
その他仮想通貨の未来など一般的な経済の解説本とは少し趣が異なりますが、今後のありうる金融の世界を考えるうえで非常に面白い本です。



・すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く (鈴木 紀之)

昆虫の一見不合理ともいえる進化を例にして進化における適応と制約について紹介しています。

進化の世界には不合理に見えるものがいっぱいあります。
それはいまだ進化の途中なのか、あるいは何らかの制約が働いているため不合理なままの進化でとどまっているのでしょうか。
著者は不合理に見える状態もやはり合理的なのではないかと考えてその仕組みを追及していくべきだとしています。

例として挙げられているものが大変面白いです。
不完全にしか擬態しない蝶、美味しくもない餌を食べているテントウムシ、あえて病に抵抗しない戦略、そもそも有性生殖なんて本当に無性生殖比べて有利なのかなど。

小難しい進化論の解説は少なく、進化の不思議の面白さを教えてくれる本です。



・闇の美術史――カラヴァッジョの水脈(宮下 規久朗)

美術において光と闇がどのように扱われてきたかを古代から中世、バロック、近代へと辿っていきます。
日本での光と闇の扱われ方、明治の西洋美術の影響にも最後の章で解説しています。

闇が濃いほど光の聖性が強くなります。
光の聖性を表現する闇がどのように扱われてきたの著者の解説は非常に興味深く、絵画の見方を変えさせられます。
レオナルドダヴィンチやラファエロから画期的だったカラヴァッジョの大胆な光と闇のコントラスト、続くベラスケス、レンブラント、フェルメールと光と闇という表現手法一つとっても深い美と精神性の世界があるのだと感動させられます。
特に興味深かったのは総合芸術としてのベルニーニの光と闇の扱い方でした。

著者が美術の到達点というベラスケスのラスメニーナスをプラド美術館で実物を見たときは教科書に載ってるやつやとしか思わなかったのですが、やはり美術のことをきちんと学んでおくと感じ方が違うのだと痛感します。



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[ 2018/11/06 19:13 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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