人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

トランプ狂想曲

まさかまさかのトランプさんが大統領選に勝利しました。
トランプさんが勝利したことにも驚きましたが、それ以上に驚いたのはやはりマーケットの動きです。
選挙前からトランプさんの主張する政策はマーケットフレンドリーだという人は何人かいました。
確かに財政支出の拡大や減税は景気を刺激しますし、金利の上昇にもつながります。
しかし主張の一貫性の無さや何をしでかすかわからないという怖さを感じていたからこそ、投票前のマーケットの動きだったと思います。
それが決まってしまえばトランプさんの政策のいいとこどりを期待してアメリカも日本も一気に上昇です。
いやはやマーケットというのは分からないものです。

それにしても戦後のアメリカや世界の繁栄を支えてきた自由主義の価値と自由貿易を堂々と否定する大統領の誕生とは恐ろしいことです。
自由貿易の否定がどこまで本気なのか、実際にどの程度のことができるのかは分かりませんが、そのような大統領を当選させたこと自体が怖いことです。

経済成長を謳歌してきた先進国が低成長となり人々にこれまでのような成長の恩恵を与えることができなくなっています。
高度成長期までは人口の増加、技術革新、途上国との貿易の優位性で成長してきました。
現在では人口の減少、技術革新のインパクトの低下、途上国との対等な競争になっています。
実際には大抵の国で生活レベルは上がっているはずなのですが、そのペースは遅くなっています。
高レベルの労働者は収入が上がる傾向であり、彼らとの格差に不満を持つ人が増えています。
グローバル化による世界的な競争で受ける恩恵がどれだけ大きくても、産業構造の変化が急速になりついて行けない人たちも増えています。
私の感覚では低所得層の生活レベルが上がるなら何も問題ないです。
高付加価値を産み出す労働者が高収入を得るのは当たり前だし、産業構造の変化は常にありそれに対応するのも当然の事です。
しかし人は変化するのが難しい生き物ですし、他人との比較で生きているのも事実です。

現在のような社会では政治家が大多数の国民を代表するのは困難なのかもしれません。
多様な価値が尊重され、どのような人間にも対等にチャンスが与えられる社会は伝統的な価値やそれまで享受してきた権利を持つ人を疎外します。
そして多様な価値の尊重と対等なチャンスでより多くの利益を得られるのは能力のある人やマイノリティであり、少数派なのかもしれません。
グローバル化や価値の多様性の尊重は中低所得層にも利益をもたらすと言ってもその利益が小さいものとみなしてしまえば否定の感情のほうが大きくなります。
これらの二つの階層の間で社会的分断が発生しているのでしょうか。
私自身も伝統的な価値への固執やこれまでたまたま運よく享受できたある意味不当な権利を持つ人にはどうしても否定的になってしまいます。
グローバル化によってこれまで貧しかった国の人にも豊かになる権利を与えるべきだし、社会で挑戦して結果を出した人は高収入を得るべきだと思っています。
アメリカでは人口の多数を占める中低所得層が自分たちの代弁者としてトランプさんを選んだのでしょう。
クリントンさんはかなり左派的な政策でしたが、オバマ政権を継承するものであって自分たちの代表者としてはみなさなかったのでしょう。

ただ一つ不思議なことはトランプさんの支持層が中所得、低所得層だとすると本当にトランプさんの政策は彼らに恩恵をもたらすのかということです。
所得税の減税や相続税の廃止、企業への減税は明らかに富裕層が利益を得ます。
公共投資の拡大にしても現在のような完全雇用に近い状態で行うと副作用の可能性もあり、減税もするのでインフレが進む可能性があります。
中低所得層の所得の伸び以上に生活が厳しくなるかもしれません。
一方で株が資産に占める割合の高い富裕層が多くの利益を得ることになるかもしれません。
TPPは別にしてもNAFTAの脱退などは本気でしようとすると大きな混乱が起き国内産業の非効率化、世界経済の成長率の低下などで労働者にとってはマイナス面が大きすぎます。
せいぜい特定の産業を保護することが可能なくらいでしょう。
アベノミクスの高揚感と同じように4年もたてば冷めていくのではないでしょうか。

戦後アメリカを中心とした先進国は高成長を謳歌する一方で共産主義国は低成長で自滅してしまいました。
冷戦の終了は大きなターニングポイントでした。
しかしその後は先進国の成長が頭打ちになる一方で中国をはじめとする途上国が経済力をつけてきて先進国のライバルとなりました。
そして現在ではロシアや中国のような強権的な国がある一方で、先進国でも右翼政党が支持を伸ばしています。
ブレグジットとトランプさんの勝利があった今年は新たなターニングポイントになるのでしょうか。
これまで自由貿易と自由主義で恩恵を受けていた世界が内向きになりつつあるのでしょうか。
グローバル化の否定と排外主義は世界の不安定化と低成長に進むのでしょうか。
あるいは少々貧しくても窮屈な社会であっても意外と同質性に多数が満足するのでしょうか。
排外主義的な世界では弱者や弱小国はどうなるのでしょうか。

どうなるにしても世界が面白くなってきました。
あと40年ほどは生きられると思いますが、この間に世界の力関係や政治体制がどう変わっていくのか楽しみです。
それにしても先進国が幸福であった時代は人の歴史で非常に僥倖な瞬間だったのかもしれません。
人間の社会は常に不安定で揺れ動き、人々はずっと揉めてきたのですから。


その他に気になったこととして
1、トランプさん勝利の可能性を予想していた人たちのドヤ顔が面白いです。
やはりこういう時は大勢とは逆のことを言っておくのが良い戦略ですね。
獲得投票数ではクリントンさんが勝ったので世論調査は予測通りだったということでしょうか。
確かトランプさんが追い上げたときに選挙人制度ではクリントンさんが有利だという解説があったような気がするのですが。
2、アメリカのメディアが予測を外したことやこぞって反トランプだったことへの批判が多いようです。
予測のたぐいを外した時の揶揄はいつものことですが、反トランプへの批判は少し意外でした。
主要メディアとトランプさんの価値観が相容れないのは当たり前だと思っていたので。
3、レーガノミクスの再来としてレーガノミクスがポジティブに取られているように思います。
昔はレーガノミクスは評価が低かったように思うのですが、近年は評価が高くなってきたように思います。

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[ 2016/11/12 10:28 ] 社会 | TB(-) | CM(2)

2016年10月のお奨め本

2016年10月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・金融論 -- 市場と経済政策の有効性(福田 慎一)

資産の価格と選択、金融市場、インフレとデフレなど金融論の基礎を網羅しています。
マクロ、ミクロの初歩的な知識があったほうがいいと思いますが、なくても理解できるレベルです。
モデルを使った説明もところどころあり数式も出てきますが、それほど難しくないです。
一般常識としての金融論としてはこの本で解説されていることを知っていれば十分ではないでしょうか。
とても良い入門書です。




・中世イタリア商人の世界―ルネサンス前夜の年代記 (清水 広一郎)

14世紀のフィレンツェの社会を商人であり年代記作者でもあったジョヴァンニ・ヴィッラーニの生涯を通して描いています。
14世紀はフィレンツェが都市国家として力をつけてきた時期で、フィレンツェ商人も国際的に活躍していた頃です。
しかしペストを経験したり商社の破産、フィレンツェの都市国家間の競争での危機もあった時代です。
ヴィッラーニの会社も破産しています。
そのような興隆と没落を商人の年代記を通して感じられる生き生きとした世界は現代の私たちでもとても身近に感じられます。
興味深かったのは当時のイタリアの記録に対する考え方です。
商人は細かく記録をする習慣があり、貸借契約、夫婦間の財産契約などは公証人が必ず記録していたそうです。
都市法もドイツなどと比較すると数十倍にもなりルールと証拠を明確化する習慣があったようです。
現在でもイタリアの公証人の地位が高いのは公証人による記録が制度化されたこの頃からの伝統だそうです。

イタリア商人の世界と14世紀のフィレンツェの歴史、ヴィッラーニの生涯とテーマが錯綜しているので一貫性がないかなと思いますが、とても面白い本です。




・天使と悪魔 (ダン・ブラウン)

ハーヴァード大の図像学者ラングドンはスイスのCERNの所長から呼び出しを受けます。
CERNで研究者が殺害され胸には秘密結社の焼き印が押されていました。
その研究者は反物質を作り出すことに成功しており、凄まじい爆発を引き起こす反物質のサンプルが盗まれていました。
研究者の娘、ヴィットリアとラングドンは反物質を探しバチカンに飛ぶことになります。
そこでは秘密結社の恐ろしい計画が待ち受けていました。

最先端の科学を悪者に利用しようとし、主人公が芸術作品や古文書に秘められた謎を解いて、危機を乗り越えて、最後に秘密結社の真実が明かされるという典型的なパターンです。
本書もバチカンの図書館の古文書や芸術作品に秘められた謎を図像学者のラングドンが解いて敵に迫っていきます。
大学教授なのでアクション的なところは弱いですが、危機の連続を乗り切るシーンも何度もあります。
エンターテイメントを意識しているせいか科学も芸術から解かれる謎も分かりやすくしてありそこが少し残念です。
しかしバチカンのコンクラーベの仕組みや図書館の描写などが細かくてもとても興味深いものでした。

私はこのタイプの小説が好きなのですが、アメリカでは結構あるのに日本では見かけないように思います。
西欧ではキリスト教やユダヤ教があり、あるいはヒトラーがいたのでテーマにしやすいのでしょうか。

シリーズの次作「ダ・ヴィンチコード」と同様に本書もバチカンにとってはとんでもないストーリーなのですが、バチカンの協力も得ているようです。
意外とバチカンはこういうことに寛容かもしれません。



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[ 2016/11/06 12:18 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(2)
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