人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2016年5月のお奨め本

2016年5月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・昭和陸軍全史 2 日中戦争 (川田 稔)

満州事変後から日中戦争に至るまでの日本陸軍の歴史を扱っています。
統制派と皇道派の主導権争い、盧溝橋事件後の戦争の拡大不拡大を巡る武藤章と石原莞爾の対立が中心テーマです。
永田鉄山や武藤、石原といった主要人物の動きと中国の情勢を丁寧に描写しておりとても面白いです。
あくまで陸軍の歴史なので当時の国内の情勢や海軍については記述は少ないです。

それにしても当時の陸軍の戦争ありきの志向は恐ろしいものがあります。
永田が生きていても、石原の戦争不拡大方針が勝っていても結局は戦争ありきの国家観は日本を全面戦争に巻き込んだように思います。
現在からみると彼らの戦略は甘すぎると思うし、うまくいかないときの後戻りや戦略転換はなかったのでしょうか。
日中戦争ですでに国力のほとんどをつぎ込んでいる時点でもうどうしようもなかったのではないかと思います。
それでも後退することなくアメリカとの戦争まで突き進んでいきます。



・科学哲学への招待 (野家 啓一)

科学史、科学哲学、科学社会学の3部構成からなる科学哲学の入門書。
非常にバランスが取れていてポイントを抑えた良書です。
科学誌ではアリストテレスからガリレオ、ニュートンに至るまでに科学はどのような意味を持っていたのか、近代の科学が形成されるまでの過程は特にうまくまとめられています。
既存の方法では説明できないことが増えてきて弥縫策では説明不可能になった時に新たな理論、方法が発展する瞬間ほど興味深いものはありません。
科学哲学では論理実証主義やポパーやクーンなどによるパラダイム論争などを簡潔でありながらきっちりと説明しています。
社会の中の科学の歴史やあり方を考える上での土台ともなる科学哲学を理解することで科学史もより深く理解できます。
科学社会学では環境問題や戦争などと科学、科学者との関係を扱っています。
科学哲学に興味があれば本書から入るのが最良だと思います。




・アイス・ハント (ジェームズ・ロリンズ)

米海軍の調査用潜水艦が北極海の氷島の内部に廃棄された研究所を発見します。
そこには多くの死体と謎の生物、そして極秘の研究成果が残されていました。
アラスカで野生動物監視員をするマットは墜落したセスナから助けた新聞記者クレイグと研究所に行くことになります。
過去に秘密裏に研究さた成果を確保するために米ソが動きだし、マットは極寒の地で争いに巻き込まれています。

ロリンズの本はサイエンスとスパイものアクションの融合ですが、今作ではサイエンス部分は弱くアクションがメインです。
次々と襲い掛かる危険を乗り切るテンポの良さはいつもながら切れ切れです。
まさに王道的なエンターテイメントです。



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[ 2016/06/11 12:12 ] 今月のお奨め本 | TB(0) | CM(0)

日本の財政再建の行方

正式に消費税増税の2年半の延期が決まりました。
果たして2年半後に現在の経済状況が今より良くなっているのでしょうか。
はなはだ疑問です。

本来消費税が増えたところで総需要には変化がありません。
需要が民間から政府へ移るだけです。
もし増税分を借金返済に充てるとしたら民間に再び戻るだけのことです。
しかし消費性向の問題があり4兆円の増税で政府が支出を4兆円増加させたときに、民間が4兆円以上消費を減らす可能性があります。
そのために経済成長が抑えられる可能性があります。
しかし難しいところは消費税によって本当に消費が低迷してるのかの判断が困難だということです。
そもそも社会保険料が増え続けており実質賃金もあまり伸びていないためこれらの影響も相当大きいはずです。
また現役世代は将来の年金、医療制度は現状維持が不可能と考えているでしょうから消費を抑制する傾向は年々大きくなっていると思います。

とても持続可能とは思えない日本の財政はどうなるのでしょうか。
あまりにも条件が複雑なため将来の事なんて誰にも分からないと思います。
ではどうやって返済するのでしょうか。

1、経済成長による増収により返済する
ほぼ無理でしょう。
アベノミクスが始まった時にこのような夢のようなことを本気で言っていた人もいたようですが、異次元緩和でも成長率は低空飛行です。
これは高度成長期のような労働人口増加とインフラ投資、イノベーションが組み合わさった夢の時代の話です。
現在は労働人口の増加は期待できず、効果の高いインフラ投資はあまりありません。
イノベーションについてはAIや自動運転のような期待できそうな分野はあると思います。

2、増税や歳出減でプライマリーバランスを黒字化する
借金を返す基本的な方法です。
私はこの方法が正しいと思います。
社会保障費のカットがまず重要でしょう。
次には議員と公務員をとことん減らすということです。
これは人件費の削減という意味ではありません。
余計な仕事をなくすためにそのような人員の余裕をなくさせるということです。
人員が増えるとどうしても補助金行政や産業のコントロール、様々な規制による共産主義的な政策や支出ありきの政策となってしまいます。

3、インフレで借金を減らす
政府はこれを狙っているのだと思います。
利子率以上にインフレ率が高ければ借金をした人はその分得することになります。
これは実質的には増税ですが法律が必要ないので政府にとってはこれが一番望ましいのだろうと思います。
しかしこれは経済をうまくコントロールする必要があり実際には相当な犠牲を払うことになると思います。
現在だとインフレ率は低すぎますし、仮にインフレ率が2%を超えて上昇するときに果たして金利を抑え続けられるのか疑問です。
そうなった場合には日銀の国債の直接引き受けや満期の来た分を償却してしまって政府に返済を求めないということが起こり得ると思います。
この場合にはインフレが一気に進む可能性が極めて高くなります。
残念ながら政府がいくらでもお金を刷っても大丈夫という夢のような社会はいまだ現れたことがありません。

4、借金を踏み倒す
これは大きな混乱をもたらすでしょう。
金融システムは不安定になり金融機関や年金基金などの国債を保有する主体のダメージは相当大きいと思います。
世界に対する影響度合いや海外からの援助が難しいことから考えるとギリシャのレベルでは済まないでしょう。
ただ実際にはいよいよというときには国債の大半を日銀が持っていると思います。
その場合は日銀による償却になるのかもしれません。

結局財政問題にはフリーランチはありません。
国民が頑張って稼げるようになるか、国民が消費を抑え、政府も支出を抑えるか、インフレ税やデフォルトで国民を犠牲にするかです。
経済成長が十分でなかった場合はどこかでツケを払わされるのです。
そして今現在でも民間から国へ資金は流れ資源の最適化がなされない非効率なお金の使い方がなされています。
国の借金が増大することも問題ですが、それだけの莫大なお金が民間ではなく国が使ってしまったことによる非効率性も問題です。

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[ 2016/06/04 17:53 ] 社会 | TB(0) | CM(9)
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