人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

知らなくていいこと

世の中には知らなくていいことがたくさんあります。
そもそも興味のないことであれば知ろうともしないし知ったところで忘れるだけのことです。

しかし知りたいのだけれど知らないほうがいいということもあります。
知ってしまうとその事実に耐えられないようなことです。
知ってしまっても理性的な判断を保てる人もいますが、そうでないにも関わらず知りたいという欲求を抑えられない人は多いものです。

もし福島の原発の放射能漏れを国民が知らなかったとすればどうでしょうか。
現在の状況では放射能漏れによる健康被害などはなさそうです。
そうすると風評被害や放射線除去にかかる莫大な費用、社会や個人間の信頼や互助の関係の破壊、東電や国に対する非建設的な攻撃などその他もろもろのことはもし放射能漏れを国民が知らなければ起きなかったかもしれません。
これらの無駄で莫大な費用やエネルギーが復興に使われず非生産的なことに使われたことになります。
私は情報の公開は民主主義の原則だとは思っていますが、このような騒動を目の当たりにすると権力が情報を隠したがるのもわかります。

現代の生殖技術や分子生物学の進歩には凄まじいものがあります。
出生前診断技術が発展したことにより産まれてくる子供が先天異常や遺伝疾患を抱えているかどうかなどが分かります。
このような技術がない時代は生まれてこないと分かりませんでした。
生まれてしまえば大抵の親は病気を抱えた子供を受け入れて生きていこうとするでしょう。
しかし出生前診断では産まないという選択肢が可能となってしまいます。
果たして出生前に子供の状態を知ってしまうことは知らない場合より人を幸せにするのか難しいところです。

また個人のゲノムの解読にかかる費用が近い将来に10万円程度になるとされています。
そうすると個人がゲノムによって判断されうる社会になります。
保険制度は今とは同じというわけにはいかないでしょう。
お見合いでは欠陥のある遺伝子を持っていないことを証明する診断書が必要かもしれません。
職業の制限にも利用されるかもしれません。
優秀な遺伝子と欠陥のある遺伝子という考え方が現実味を帯びてきます。
おそらく法律で遺伝子情報の利用は制限されることでしょうが、個人がゲノムを解読する自由までは制限することはできないでしょう。

しかし自分のゲノムを調査してその結果に人は耐えることができるのでしょうか。
おそらく誰でも何かしら病気にかかりやすい遺伝子を抱えているでしょう。
検査による客観的な診断は確実に訪れるにしても遠い将来であった死を突然リアルなものとして突きつけます。
もし若年性アルツハイマーになる可能性が高いと診断されたら人は将来を悲観して欝になるかもしれませんし、自殺してしまうかもしれません。
チェルノブイリの原発事故では将来を悲観して欝になったり自殺する人が多数出ました。
その時点では何の健康被害を受けていなし、今後も健康被害を受ける可能性は低いにも関わらずです。
例え将来病気になる可能性が高くても、知らなければ実際に病気になるまでは楽しく暮らせるはずです。
しかし知ることによって病気になるまでの時間も奪われることになるかもしれません。

知ることによる予防や治療などのメリットとデメリットは個人によって大きく異なるでしょう。
法律でのゲノムの調査の制限が不可能だとすれば結局は個人が自己責任で覚悟を持って調べるしかありません。
私は利用しようとする治療方法が有効かどうかなど一部分だけを調べるのは構わないですが、ゲノムを調べるのはいらないかなと思います。
知ってしまうことにより心の平穏が乱されるのはちょっとしんどいです。
現実化していないことに悩むことほど無駄なことはありませんから。

交際相手の過去の異性関係。
健康や美容に良いと信じて摂取している食品の実際の効果。
大好きなアイドルの異性関係。
レストランの厨房の非衛生などの裏話。
自分に向けられている陰口。
明日滅亡する予定の人類の最期のとき。

そして自分の寿命。

現在では人の寿命を推測するのは難しいですが、大規模に調査されてデータが揃ってくるとある程度は予測可能にはなるでしょう。
アーリーリタイアを目指すときには経済や社会の不確実性とともに自分の寿命の不確実性の問題があります。
寿命が分かれば逆算してリタイアするために必要な資産が計算できるので、無駄な資産形成が必要なくなりより早くリタイアを達成できるでしょう。
しかし寿命を宣告される場合、何歳ぐらいの寿命であれば精神的に耐えられるのでしょうか。
90歳ぐらいなら大丈夫でしょう。
80歳であれば平均なのでおそらく不安にはならないでしょうが、自分は平均より長生きできると信じている人は多いものです。
60歳であれば絶望して欝になったり、自殺する人が出てくるかもしれません。
もしかするとリタイア予定年齢より寿命が尽きるほうが早いと言われるかも・・・。
やっぱり知らないほうがいいですね。


知らなければ楽しく過ごせるのに知ってしまうことによって不安や怒りをもってしまうことは世の中には多いものです。
しかしながら何故かひとは余計なことを知りたいと思ってしまうようです。
そして知らない人に教えたがる人もやたらと多いのです。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村

[ 2013/04/28 00:59 ] 社会 | TB(-) | CM(4)

2013年3月のお奨め本

2013年3月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・聖の青春 (大崎善生)

怪童と称されトップ棋士だった村山聖の29年の短い一生を描いています。
彼は幼くして大病を患い、長くは生きられないことを自覚することになります。
限られた命を将棋の名人位を取ることに全てを捧げた彼の生き様と彼と家族、師匠、ライバルたちとの交流は涙なしでは読めません。

死をいつも身近に感じていて、しかも人生で成し遂げるべきことがある人間の執念は凄まじいの一言です。
彼は強情で自分の考えを一切変えようとしなかったらしいですが、自分の考え方を変える時間すらないというのが非常に印象に残りました。

村山棋士も魅力的なのですが、師匠であった森棋士も非常に印象に残る変わった人です。
村山棋士と森棋士は出会うべくして出会ったのだと思わせる師弟関係で、最後の師匠が弟子の遺体にすがりつく場面は号泣ものです。



・文明と戦争 (アザー・ガット)

先史時代から現代まで文明と戦争の関係を詳説しています。
生物学や人類学から政治学まで広範な知識を駆使して人類にとって戦争とは何かを解き明かす野心的な著作です。

とにかく様々な分野から戦争を考えるというのが非常に面白いです。
遺伝子を残す目的を持った生物としての人間の戦争、馬や火薬などの技術が戦争や人間社会に与えた影響、経済力と戦争の関係、戦争の犠牲者の割合、兵士を担った階層、思想と戦争の関係などが述べられています。

かなり分厚い書物ですが歴史や戦争に興味のある人には必読の良書です。
このレベルの本を日本人で書ける人はいるのでしょうか。



・ハルビン・カフェ (打海文三)

朝鮮人と中国人の難民が押し寄せ彼らの居住区ができ、マフィアも組織されている北陸の架空の都市が舞台。
犠牲者を多数出す下級警察官はマフィアにテロルで対抗するPという組織を結成し、マフィアそしてついには警察の公安にも牙をむきます。
東京で起きた殺人事件をきっかけにPの内部にいるとされる内通者を巡って事態が動き出します。

日本人の小説には珍しい多国籍で危険な香りのする濃密な空間を持つ小説です。
登場人物の視点が次々と入れ替わり、警察とマフィア、Pの陰謀や思惑が徐々に明らかにされるのは圧巻です。
ハードボイルドを楽しみつつ複雑な陰謀絡みあうクライムノベルといったところでしょうか。
読み手をかなり選び万人向けではないですが、完成度の高い作品です。




にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村

[ 2013/04/21 17:23 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
ブログ村
にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
検索フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

相互リンクとコメントを頂いた方