よく逃げ切り世代という言い方がされます。
60代以上が逃げ切り世代、40代と50代が逃げ切ろうとしている世代、それ以下はもう逃げ切れない世代。
漠然と生活水準全体を指すのでしょうが、より具体的には国の財政、社会保障のことを述べているのでしょう。
現在の70歳と生まれてくる世代との社会保障の格差は大卒のモデルで5000万ぐらいと言われることが多いようです。
現在の政策からするとこの差はますます広がるでしょう。
社会保障やその他の公的な支出については公的な負担と受益の不公平という問題です。
もう一つ重要なのは稼ぐ状況です。
これについても逃げ切れる世代と逃げ切れない世代で別れるでしょう。
グローバル競争が本格化してきたのはここ数年の話です。
ほんの10年前まではここまで厳しい競争ではありませんでした。
賃金の高い欧米と賃金の安い日本という二極だけの世界から様変わりしました。
低賃金で工場機能を引き受ける中国やタイ、先進国の企業と互角の戦いをするようになった韓国や台湾、アジアの金融センターの地位を確立して日本より豊かになったシンガポール、その他のメキシコ、トルコ、ブラジル、インドネシアなどの次を伺う国が目白押しです。
これから本格的にグローバル社会が到来し外国人と直接競争する時代となります。
また今までは安泰であった公務員や弁護士、会計士などの独占業種も競争の導入などで厳しくなりつつあります。
すでに20代の弁護士や会計士は稼げるのは一部になりつつあり、中にはワーキングプアレベルもいます。
公務員にしてもまだ民間よりはましと言えますが、財政悪化とともに待遇は厳しくなるでしょうし、インフレに転換した場合は国民の反発からするとインフレ分の給与を上げるのは困難でしょう。
これまでのサラリーマンは平均的に仕事ができればそれなりの収入を得ることができました。
大卒で大企業に入れば平均で生涯賃金3億を稼げた時代です。
しかし、今の若い人はそういうわけにはいきません。
平均的な仕事であれば外国人との競争に巻き込まれ、賃金の水準は低下します。
アメリカでここ10年で見られたような少数の賃金の高い専門家とそれ以外の低賃金の職業の二極化が日本でも進んでいくと思います。
おそらく生涯賃金3億と言うのは平均ではなくかなりの勝ち組となるでしょう。
すでに企業は従業員の選別を進めています。
勝ち組と負け組みの正社員の差が拡大して、負け組みの正社員と非正規の差が縮小すると思います。
パナソニックは本社機能を大幅に縮小するとしました。
それなりの仕事をするだけで高収入であった大卒がターゲットなのではないかと思います。
楽天は英語の公用語化を確実に進めています。
この程度で脱落する社員にはさっさと辞めて欲しいという本音があるのではないでしょうか。
楽天は世界進出を目標とするベンチャー企業ですし、パナソニックは業績不振で仕方なくということがあるかもしれません。
しかし業績不振でない会社も確実にこの方向に向かうでしょう。
このような流れの中で果たしてどの世代が何とか逃げ切れるのでしょうか。
私の経験や友人の話などからするとちょうど私の世代(アラフォー)あたりではないかという印象を受けています。
私の世代は第二次ベビーブームで人口が多く、さらには運悪く就職氷河期にあたったので非正規が多いそうです。
しかし、そこそこの有名大学を卒業してそこそこの企業に潜り込むのに成功すれば平均レベルの仕事でそれなりの待遇を得ている世代でもあります。
総合商社や金融などでなくとも大企業であれば40歳には大抵が800万を稼げる世代です。
年功序列は崩れてきたと言えどまだ本格的な淘汰が進んでいるようには見えません。
英語ができない人もまだまだ多いですし、それがぎりぎり許されている世代でしょう。
(えらそうなことを言いましたが私も英語がダメで、外国のお客さんを迎えるときにはアメリカの大卒の年下の社員たちに頼りきっています)
しかし、現在の新卒が有名企業に入ったとしても同じ仕事量で40歳時点で800万稼ぐのは難しいのではないでしょうか。
また有名企業の日本人の採用数の減少は止まらないでしょう。
私の会社の20代の社員を見ているとそのことは十分自覚しているようです。
意識して自分のレベルアップに励む社員、収入が上がらないことを前提としたライフプランを立てている社員がいます。
もちろん何にも考えていない社員もいますが。
私の世代が本当に逃げ切れるかどうかはグローバル化の進行スピードによるかと思います。
時間との戦いです。
ミャンマーやバングラディッシュが競争に加わりつつあり、メキシコやトルコなど先進国入りを狙う国も増えています。
将来にはアフリカが本格参戦してくるかもしれません。
ハイテク企業もローテク企業もライバルは増えるばかりです。
私たちアラフォー世代は労働人生の前半はそこそこの収入を得てきました。
後半の労働人生では収入は期待できないでしょう。
所属する会社がリストラをせざるを得ないほどの業績不振にならないことを祈るばかりです。
もしリストラさえ受けなければ生涯賃金で言うと3億は無理でもそれなりにはなるのではないでしょうか。
そういう意味では逃げ切り世代と言えるのではないでしょうか。
もちろん世代内での格差は大きいでしょうし、万一40歳を超えてリストラされた場合は相当厳しいでしょう。
若い世代には何だか申し訳ないですが、社会環境を変えることは不可能なので自分で現状を見極めて人生を切り開いていくしかないですね。
それに社会保障の格差は誰かが悪いのですが、グローバル化には悪者がいません。
社会が変化する以上はそれに対策を立てて自分も変わるしかありません。
グローバル化に打ち勝つ能力を持つ人間になるか、グローバル化による貧乏な生活を受容できるようになるかです。
どちらでも好きなほうを選べばよいのです。
それにしても着実な事務能力にプレゼン能力、リーダーシップ、コミュニケーション能力、語学力、数学的処理能力、異文化への対応力、自分で仕事を作る能力、さらには発想力とこれからのそれなりに稼ぐことを目指すビジネスマンに必要な能力は私には足りない能力ばかりです。
若い頃ならまだしもアラフォーになってからこのようなことを言われても無理ですね。
これ以上稼ぐのはもう諦めています。
リタイアまでの最長7年間を何とか逃げ切るのが私の目標です。
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