人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2018年12月のお奨め本

2018年12月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・現代経済学-ゲーム理論・行動経済学・制度論 (瀧澤 弘和)

現代の経済学ではどのようなことが研究テーマになっているのでしょうか。
マクロ経済学、ミクロ経済学からゲーム理論、実験経済学、制度の経済学、行動経済学などがどのように展開されているのかを解説しています。

経済学と言えばマクロ経済学やミクロ経済学をイメージしてしまう人が多いかもしれません。
新聞などでは金融政策や財政政策が語られることが多いからでしょう。
ゲーム理論でさえそれほど多くの人が知っているわけではないと思います。
行動経済学については面白経済学的なところから紹介されていることも多いようですが。
しかし、経済学は様々視点から研究され、その手法も多様化させて発展させてきましたし、現実の政策などにも貢献してきました。

現代の経済学とはどのようなものか、様々なタイプの経済学が出現しており、それらがどのように関連しているかを本書は俯瞰しています。
スミス以来、経済学はここまで進化してきたのだなあとあらためて思わされました。
経済学の深さ、多様さを教えてくれる素晴らしい入門書でした。
ここ最近では経済学で一番面白かった本です。
是非読んで欲しい一冊です。




・イエズス会の歴史(ウィリアム・V・バンガート )

16世紀に生まれたイエズス会の歩みを現代まで記述しています。

イエズス会と言えば日本人であればほとんどがフランシスコ・サビエルを思い浮かべると思います。
ザビエルがインドを経て日本まで布教に来たように、イエズス会は世界中へ布教したように使途的な使命を帯びた活動を精力的に行いました。
その他にも熱心な教育、研究活動、社会奉仕で知られています。

また、特徴として教皇への忠誠心が強く、それによりフランスなどでは教皇権力を体現するものとして多くの政争に巻き込まれることになります。
16世紀、17世紀には各地で精力的な活動をしていたイエズス会ですが、教皇のもとに国境を越えて活動するイエズス会は国民国家を形成ししつつあったヨーロッパでは国家の中に異質の権力を許容することはできませんでした。
18世紀にイエズス会は各国で弾圧を受けてとうとう教皇はイエズス会の禁止を命令せざるを得ないところまで追い詰められます。
当時のヨーロッパ社会の変化、国際関係、そのなかでの教皇庁やイエズス会の立場などこのあたりの話は非常に興味深いです。

あくまでイエズス会から見た歴史であるためだいぶ偏りがあることや、詰め込み過ぎて人物名の羅列に終わっていることも多いのが欠点ですが、これだけの分量できちんとした全体史は一般向けではなかなかないと思います。

キリスト教の歴史に興味がある人であればお薦めですが、そこまで興味がない人は挫折すると思います。




・ラ・ミッション 軍事顧問ブリュネ (佐藤 賢一)

ラストサムライのモデルとなったフランス人ブリュネの日本での物語です。
ブリュネは幕府の軍事顧問の副隊長として伝習隊を指導していました。
しかし、幕府が明治新政府に敗れ、ブリュネたちフランスの軍事顧問団も日本から退去することになります。
その中でブリュネは日本に残ることを決意してフランスの軍籍を抜けて、榎本武明らの蝦夷共和国に参加します。

軍籍を抜けてまで榎本武明らの幕府の残党軍に参加したフランス人たちがいたとは知りませんでした。
フランス人から見た戊辰戦争というのが新鮮ですし、列強がそれぞれの思惑を持って日本に対して関わる中で苦悩する軍人の姿というのも面白いです。

ブリュネという私が知らなかった人物の話としては新鮮で面白いものでした。
ただし、佐藤賢一の他の小説の中で覚えるような興奮は感じられませんでした。
ドラマ性が足りないかもしれません。




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[ 2019/01/11 12:50 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(2)

2018年10月のお奨め本

2018年10月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・金融政策に未来はあるか (岩村 充)

金融政策は今後も有効なのでしょうか。
現在はもしかすると中央銀行の役割が変わりつつある過渡期にあるのかもしれません。
著者はそのような問題意識をもって物価水準の財政理論(FTLP)、マイナス金利、ヘリマネ、仮想通貨の未来と金融政策について解説しています。

現在の金融政策からすると少し現実性がないのですが理論的には十分可能なアイデアが満載です。
貨幣に利息を付与する場合の金融政策の解説などはなるほどと思わされます。
特に浜田さんが言及することで有名になったFTLPの解説が非常に分かりやすいです。
現実の物価や金融政策を説明するものとしてどの程度妥当するのかは分かりませんが、FTLPから考えていくのは面白いアイデアです。
シムズの理論が紹介された意図には違和感がありましたが、著者の解説を読んで非常に示唆に富む理論だと思えました。
その他仮想通貨の未来など一般的な経済の解説本とは少し趣が異なりますが、今後のありうる金融の世界を考えるうえで非常に面白い本です。



・すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く (鈴木 紀之)

昆虫の一見不合理ともいえる進化を例にして進化における適応と制約について紹介しています。

進化の世界には不合理に見えるものがいっぱいあります。
それはいまだ進化の途中なのか、あるいは何らかの制約が働いているため不合理なままの進化でとどまっているのでしょうか。
著者は不合理に見える状態もやはり合理的なのではないかと考えてその仕組みを追及していくべきだとしています。

例として挙げられているものが大変面白いです。
不完全にしか擬態しない蝶、美味しくもない餌を食べているテントウムシ、あえて病に抵抗しない戦略、そもそも有性生殖なんて本当に無性生殖比べて有利なのかなど。

小難しい進化論の解説は少なく、進化の不思議の面白さを教えてくれる本です。



・闇の美術史――カラヴァッジョの水脈(宮下 規久朗)

美術において光と闇がどのように扱われてきたかを古代から中世、バロック、近代へと辿っていきます。
日本での光と闇の扱われ方、明治の西洋美術の影響にも最後の章で解説しています。

闇が濃いほど光の聖性が強くなります。
光の聖性を表現する闇がどのように扱われてきたの著者の解説は非常に興味深く、絵画の見方を変えさせられます。
レオナルドダヴィンチやラファエロから画期的だったカラヴァッジョの大胆な光と闇のコントラスト、続くベラスケス、レンブラント、フェルメールと光と闇という表現手法一つとっても深い美と精神性の世界があるのだと感動させられます。
特に興味深かったのは総合芸術としてのベルニーニの光と闇の扱い方でした。

著者が美術の到達点というベラスケスのラスメニーナスをプラド美術館で実物を見たときは教科書に載ってるやつやとしか思わなかったのですが、やはり美術のことをきちんと学んでおくと感じ方が違うのだと痛感します。



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[ 2018/11/06 19:13 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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