人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2020年2月のお奨め本

2020年2月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (渡辺 正峰)

意識はどのように生まれるのか。
人が意識するときに脳はどのように働いているのか。
脳神経科学の最前線で分かってきたことを様々な実験を紹介して解説しています。
さらには機械に意識を発生させることは可能なのか、人の意識を機械に移すことはできるのかという壮大すぎる試みにまで世界は広がっていきます。

意識は科学でも哲学でも長年論じられてきています。
哲学では答えなど求めず議論することに意味があるようなことになっていますが、科学は着実に意識のメカニズムの解明に近づいているように思えます。
著者は視覚のクオリアを軸にして現在脳神経科学で研究されている意識について丁寧に解説してくれます。

脳神経の仕組みから始まり人の視覚のシステムとそこから考えられる意識のメカニズムの解説へと進みます。
視覚の仕組みひとつとってもここまで深い世界であり、その解明が意識の発生を考えるうえでとても重要なものだと理解できます。
どのような実験からそういうことが分かったのか解説してくれており、理解しやすく納得感もあります。
一般向けの書物ではこのような実験の解説は端折ることが多いのではないでしょうか。
機械に意識は宿るのか、宿るとしてもそれをどのように確かめるのか、そして実際に人から意識を移すにはどうするのか。
エキサイティングでワクワクするような話が次々と出てきます。
また著者が夢を抱いて意識研究に打ち込んでいることが文章中で強く感じられ、好感も覚えました。

簡単というわけではありませんが、比較的平易な解説で意識研究の最前線が知ることができるお薦めの本です。




・ソフィストとは誰か? (納富 信留)

ギリシャ時代に活躍したソフィストはやがて歴史の彼方へ追いやられ、否定的な見方でしか取り上げられなくなります。
著者はこれまでのステレオタイプなソフィストのイメージから救い出し、彼らがどのような活動を展開したのか議論します。
そこでは数少ないソフィストが残した言説やプラトンとの対決が語られます。

ソフィストと言えばどうしても詭弁家というイメージがあります。
プラトンによる著作の影響がそれだけ大きいのでしょう。
けれどもソフィストの生き生きとした活動、プラトンが取り出した哲学との相互的な活動は哲学の豊かさを生み出したともいえます。
著者はソフィストとみなされていたソクラテス、ソフィストと哲学者を区別したプラトンからソフィストはどういう存在であったかを解説し、その後にソフィストの言説そのものに迫ります。
ソフィストからの相対主義的な批判を正面から受けて立つことが哲学の豊饒さを生み出すのでしょうし、そこから逃げては結局はソフィストと哲学者の区別はできなくなるのでしょう。

ギリシャ哲学に興味がある人ならぜひ読んで欲しいです。




・WORLD WAR Z (マックス ブルックス)

全世界に広がった生ける死者を生み出す疫病。
人を襲い感染が拡大する中で人類はその領土を後退させるばかりでしたが、やがて反撃に移りそして最終的に生ける死者に勝利します。
本書は人類の生ける死者との戦いの記録を残すために、多くの人へのインタビューをまとめたものです。

ゾンビが出現して人類は戦い、そして勝利するのですが、勝利後にこの戦いを記録するために生き延びた一般人、軍人、政治家、宇宙飛行士、医者などへのインタビューをまとめたという形をとったユニークな本です。
証言集になっているので主人公がいて様々な困難に打ち勝つ勝利するというような物語的な面白さはありません。
しかし、インタビュー形式をとることによってとてもリアルに感じられ本当に起こったことかと思わされてきます。
ゾンビたちはどのような習性をもち、人類はどのように避難し生き延びて、そして戦う体制を整え、実際に戦ったのか。
様々な立場の人のインタビューをのせることでこれらが歴史的事実としての戦いとしてイメージされていきます。
下手な物語よりよっぽど説得力と現実性があります。
お薦めです。



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[ 2020/03/10 17:46 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)

2020年1月のお奨め本

2020年1月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・ビザンツ帝国の最期(ジョナサン ハリス)

ビザンツ帝国の最期の100年を描いたものです。
ビザンツの皇帝がオスマントルコの圧迫を受けながらもラテン諸国やオスマントルコとの巧みな外交で国際政治を懸命に生き残っていましたが、ついにコンスタンティノープルに陥落するまでの歴史を冷静ながらもどこか暖かな視線でこの分野の泰斗が解説してくれます。

1000年もの間栄えたビザンツ帝国ですが、最後は非常に小さくもろい帝国でオスマントルコに臣従することも度々でした。
それでもオスマントルコ内の対立を画策してビザンツへの圧力を和らげたり、ラテン諸国への援助を求めて最後には教会合同まで行っています。
その弱さは最盛期のビザンツ帝国の見る影もないですが、歴史の流れの中でビザンツの皇帝やオスマントルコのスルタンがプレーヤーとして国際政治を生き抜く姿は冷静な筆致ながらも心打たれます。

翻訳者があとがきでも書いていますが、歴史にロマンを求める人が多く英雄の活躍や、華々しく散っていく姿を求める人が多いものです。
しかし、できるだけ史実に基づいた学術的なものであってもそこに英雄でなくとも歴史の中で奮闘した人々にロマンを感じてしまいます。

一般的にイメージされる大帝国ビザンツではなく、滅ぶことが運命づけられた小国としてビザンツ帝国を知ることができお薦めです。




・E=mc2のからくり エネルギーと質量はなぜ「等しい」のか (山田 克哉)

世界一有名な数式E=mc2にはどんな秘密が隠されているのでしょうか。
エネルギー、場の考え方からこの数式を解明していきます。

E=mc2そのものの解説はそれほど多くありません。
なのでこの数式自体の本質に迫れた感じはありません。
しかし、E=mc2を理解するための場、エネルギー、真空などの解説が素晴らしいです。
特に電場、磁場、重力場などの場という概念の説明は私には今までで一番分かりやすかったです。

物理学はストンと腑に落ちるような説明は難しいので色んな人の本を読むのが良いですが、この本を読んで特にそう感じました。
何となく理解しているつもりでいた場の概念についてより深く理解できたように思います。
数式を使わずに抽象的な世界をとても分かりやすく説明していてお薦めです。




・さよならドビュッシー (中山 七里)

高校の音楽科を特待生で合格した遥は自宅の家事で祖父と従姉妹を失います。
遥も全身大やけどを負い全くピアノが弾けなくなりましたが、ピアニストの岬との出会いで本気でピアニストを目指すことを決めて驚異的に回復していきます。
ところがコンクールの優勝を目指して猛練習する中で周りで不吉なことが起こりついに殺人事件が起こります。

天才ピアニストの指導を受けてピアノのコンクール優勝を目指す話とミステリーが混在しています。
私は全身やけどによりピアノが全く弾けない状態からコンクールの優勝を目指すことにより本気でピアニストを目指していく遥の姿に引き込まれました。
ミステリー要素は最後のどんでん返しも良かったですし、真相もそれなりに面白かったですが、あくまで物語のスパイスという印象を持ちました。
ちなみにミステリーを読みなれた人にはどんでん返しに最初から気づいてしまうようなものなのでこれは少し残念です。
いかにもという感じだったので私も最初に気づいてしまいました。

とは言え気軽にさっと読めるミステリーとしてとても良いです。
最初に死んでしまう祖父と従姉妹がキャラ立ちがしっかりしていてよかったので早々と舞台から消え去ったのは残念、と思っていたら祖父は著者の別の本で活躍するようです。



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[ 2020/02/13 12:40 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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