人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2018年10月のお奨め本

2018年10月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・金融政策に未来はあるか (岩村 充)

金融政策は今後も有効なのでしょうか。
現在はもしかすると中央銀行の役割が変わりつつある過渡期にあるのかもしれません。
著者はそのような問題意識をもって物価水準の財政理論(FTLP)、マイナス金利、ヘリマネ、仮想通貨の未来と金融政策について解説しています。

現在の金融政策からすると少し現実性がないのですが理論的には十分可能なアイデアが満載です。
貨幣に利息を付与する場合の金融政策の解説などはなるほどと思わされます。
特に浜田さんが言及することで有名になったFTLPの解説が非常に分かりやすいです。
現実の物価や金融政策を説明するものとしてどの程度妥当するのかは分かりませんが、FTLPから考えていくのは面白いアイデアです。
シムズの理論が紹介された意図には違和感がありましたが、著者の解説を読んで非常に示唆に富む理論だと思えました。
その他仮想通貨の未来など一般的な経済の解説本とは少し趣が異なりますが、今後のありうる金融の世界を考えるうえで非常に面白い本です。



・すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く (鈴木 紀之)

昆虫の一見不合理ともいえる進化を例にして進化における適応と制約について紹介しています。

進化の世界には不合理に見えるものがいっぱいあります。
それはいまだ進化の途中なのか、あるいは何らかの制約が働いているため不合理なままの進化でとどまっているのでしょうか。
著者は不合理に見える状態もやはり合理的なのではないかと考えてその仕組みを追及していくべきだとしています。

例として挙げられているものが大変面白いです。
不完全にしか擬態しない蝶、美味しくもない餌を食べているテントウムシ、あえて病に抵抗しない戦略、そもそも有性生殖なんて本当に無性生殖比べて有利なのかなど。

小難しい進化論の解説は少なく、進化の不思議の面白さを教えてくれる本です。



・闇の美術史――カラヴァッジョの水脈(宮下 規久朗)

美術において光と闇がどのように扱われてきたかを古代から中世、バロック、近代へと辿っていきます。
日本での光と闇の扱われ方、明治の西洋美術の影響にも最後の章で解説しています。

闇が濃いほど光の聖性が強くなります。
光の聖性を表現する闇がどのように扱われてきたの著者の解説は非常に興味深く、絵画の見方を変えさせられます。
レオナルドダヴィンチやラファエロから画期的だったカラヴァッジョの大胆な光と闇のコントラスト、続くベラスケス、レンブラント、フェルメールと光と闇という表現手法一つとっても深い美と精神性の世界があるのだと感動させられます。
特に興味深かったのは総合芸術としてのベルニーニの光と闇の扱い方でした。

著者が美術の到達点というベラスケスのラスメニーナスをプラド美術館で実物を見たときは教科書に載ってるやつやとしか思わなかったのですが、やはり美術のことをきちんと学んでおくと感じ方が違うのだと痛感します。



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[ 2018/11/06 19:13 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)

2018年9月のお奨め本

2018年9月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・興亡の世界史 東インド会社とアジアの海 (羽田 正)

東インド会社の歴史を追いながらアジアの海洋貿易の世界をたどります。

興亡の世界史シリーズでも私が好きな一冊です。
バスコダガマから始まり、オランダやイギリス、フランスの東インド会社の設立とその役割の変遷、対するインドや東南アジア、中国、日本の政策をアジアの海を中心に据えた歴史を意欲的に描いています。

貿易された商品の変遷、徐々に変化していく東インド会社と地域権力との関係、日本や中国の貿易政策、個々の研究も面白いですが、グローバルな視点に立つと歴史はぐっと面白くなります。
現代以上に大きく政治や文化が異なる時代ですが、その異なる文化が歴史に大きな影響をもたらし始めるのがこの大航海時代なのでしょう。

キリシタン追放の時代に日本から追放された西洋人とのハーフの女性のエピソードがあるのですが、インドネシアでたくましく生き抜いており、いつの時代でもグローバルに生きる人の力強さには感動を覚えます。

こういうグローバルな視点での歴史は何を中心に記述するか、自分の専門外のことを多く記述することになるなど非常に難しい作業ですが、やはり意義のある作業であり、この本は十分に成功していると言ってよいと思います。




・重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (大栗 博司)

相対性理論、量子力学、超弦理論を解説している本です。
重力とは何かというタイトルですが、中身は物理の歴史になっています。
重力とは何かを知るために必要な理論を易しく解説する本と言えます。

他の物理学の入門書と同じような感じですが、若干易しめに書かれており躓くところは少ないと思います。
ホーキングの業績の解説、相対性理論などは分かりやすくて良かったです。
興味深かったのは少し難しかったですがブラックホールで失われる情報が因果律を破るということや、その解決策としてのブラックホールという3次元を2次元の投影として考える方法、物質を分割していくことができる限界などです。




・【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (池内 恵)

第一次世界大戦後の中東諸国の体制を決定づけたサイクス=ピコ協定、セーヴル条約、ローザンヌ条約と当時の状況の解説とそれと比較した現在の中東の状況を解説しています。

サイクス=ピコ協定そのものの深い解説ではなく、あくまでここから始まった中東の混迷と現代の状況の解説です。

著者が強調しているのはロシアとトルコの関係です。
黒海を巡ってオスマン帝国時代からトルコとロシアは常に緊張関係にありました。
そして現在はロシアがクリミア半島を併合してしまい、シリアにも大きな影響を及ぼしています。
現代になって再びロシアとトルコの緊張が前面に現れつつあるようです。
一方でトルコとアメリカとの関係悪化に見られるように、ロシアとトルコはともに強権国家でもあり連携するところもあります。

それにしてもいまだに中東は宗教や部族などで争いを繰り返し安定が見られません。
著者は結局第一次世界大戦当時の問題を解決できずにもとに戻ったような状況だと述べます。
結局は解決なんて不可能のように思えます。
今までの歴史を振り返ると西欧のように宗教や部族の代わりに自立した個人が確立されないと安定はやってこないのではないでしょうか。
もちろん豊かな西欧でさえそんなものは幻想と思いたくなるようなことばかりですが、それでも西欧も多くの戦争を経験しながらも安定した社会になったのも事実なのではないかと思います。



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[ 2018/10/13 15:12 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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