人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2017年1月のお奨め本

2017年1月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・アウトソーシングの国際経済学 グローバル貿易の変貌と日本企業のミクロ・データ分析(冨浦 英一)

現代の貿易理論とその実証研究を紹介しています。
著者の研究内容を一般向けに分かりやすくまとめた感じです。
現代の貿易はすでに最終財よりは中間財やサービスの貿易が重要性を高めています。
貿易の実体と企業行動、そして貿易理論との関係はどうなっているのでしょうか。
日本企業のミクロデータを使って輸出企業、直接投資、アウトソーシングをする企業はどのような特徴を持っているのかを実証しており、その結果は新・新貿易理論の唱える生産性の高さとの関連性があることを示しています。

リカードによる比較優位が唱えられてから貿易理論も少しずつ精緻化してきました。
ヘクシャー、オリーンが生産要素の賦存を取り入れそれまでの技術の差以外でも貿易を促進することを説明しました。
クルグマンらは規模の経済、消費者の多様性といった要素を取り入れて先進国間、同一産業内の貿易が生じる原因を説明しました。
現在の新・新貿易理論では何故同一産業内でも輸出を行う企業が限られているのかを企業の異質性に注目します。
それまでの生産性が同一の企業のみの仮定から生産性の異なる企業を考慮に入れて貿易との関係を論じるところまで来ているのです。
本書では新・新貿易理論に基づく研究について知るのにとても良い本で、国際経済に興味のある人は必読でしょう。

残念なことに国際経済の教科書で最初に出てくる比較優位を理解している人は1割もいないでしょう。
いつも思うのですが、大学受験の必須科目に経済学を加える必要があるのではないでしょうか。
比較優位のような易しい概念ぐらいは国民のほとんどが理解している国になってほしいものです。




・スペイン継承戦争―マールバラ公戦記とイギリス・ハノーヴァー朝誕生史(友清 理士)

スペイン継承戦争とイギリスのハノーヴァー朝が成立する過程をかなり詳細に記述しています。
戦記の要素がかなり強いですが、当時の国際関係や近代に向かっていくヨーロッパ特にイギリスについてよく理解できると思います。
特にイギリスの国内政治での女王、トーリー、ホイッグの闘争は戦争の状況やマールバラ夫妻との関係も絡んで二転三転していき興味深いです。
ちなみにマールバラはスペイン継承戦争で無敵を誇った英雄でイギリスのチャーチル元首相(爵位はない)の先祖になります。

誰でも知っているような戦争とはいえ、スペイン継承戦争というメジャーでもない戦争について日本人によってここまで詳細な解説をしてもらえるのはありがたいです。




・悪霊の館 (二階堂 黎人)

資産家の一族が住む西洋屋敷で当主の双子の孫の女性の1人が殺害されます。
しかもそこは密室で黒魔術のミサが行われた状態で首は切り取られていました。
館と一族に秘められた黒い歴史が彩られて、そしてまるで何かから復讐を受けているような凄惨な事態へと陥っていきます。
おなじみの二階堂蘭子は黎人をワトソン役にして解決に乗り出します。

プロットがよく練られており怪奇趣味的な雰囲気がとてもうまく表現されています。
資産家一族、館の歴史にまつわる謎もとても良いアクセントになっており感心させられます。
ただ肝心の密室トリックや犯人などの推理部分は少し物足りないものを感じました。
あとはストーリーの割には少し長く冗長なところもあるかもしれません。




にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村

[ 2017/02/05 13:12 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)

2016年12月のお奨め本

2016年12月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・ヒトラー(イアン・カーショー)

現在のところヒトラーの伝記では決定版ともいえる本です。
ヒトラーの権力とは何だったのか、どのようにしてヒトラーが絶対的な権力を持つに至ったかを解明しようとしています。

圧巻の内容とボリュームです。
ヒトラーの思想が育まれた背景、ナチスがいかにして権力を握ったか、ヒトラーが絶対的な権力を維持できたのはなぜか。
幼少期から最後に自殺するまでを最新の資料を掘り起こして詳細に描いています。

ナチスは権力を握るまでは単なる泡沫政党でその過激な思想もそれ程支持を受けていたわけではありません。
しかし大恐慌などの社会経済的情勢や保守派の政治家、軍部、そしてドイツ国民が様々な思惑から好戦的な人種主義者にその運命を託することになります。
ヒトラーはドイツ国民を途方もない賭けに巻き込み、国内外で悲惨な状態を引き起こしていきます。
敗北が決定的になったときには降伏ではなくドイツ国民とともに滅びることを望み、いたずらに破壊と殺戮の期間を延ばすことになります。
そして最後までヒトラーはユダヤ人とボルシェビキを絶滅させることが与えられた使命と考えていました。

それにしてもなんて人間は愚かで残虐なんだと考えさせられてしまいます。
そしてその本質はほとんど変わっていなのだろうと思います。
ヒトラーの後にもソ連や中国、カンボジア、旧ユーゴなど中東など同じようなことが何度も起きたのは必然なのでしょうか。

ナチス、ヒトラーに興味がある人には必読の本でしょう。
ただしもの凄いページ数なので気合が必要です。
このような素晴らしい本を書いた著者と翻訳した訳者に感謝したくなります。
ちなみに翻訳は7年かかっているそうです。
いったい7年かかった翻訳のギャラはいくらぐらいなのでしょうか。




・英米哲学史講義 (一ノ瀬 正樹)

英米に絞って経験論から分析哲学までの流れを解説しています。
主なトピックとして経験論、功利主義、論理実証主義、プラグマティズム、論理学、確率に関する哲学など。

経験論以降英米哲学がどのような道を歩んだのかを解説してくれている本はあまりないのではないでしょうか。
前半は分かりやすい内容ですが、最後の数章は内容が難しくなります。
論理学や確率が絡み推論や意思決定の話になると初学者には厳しいものがあります。
以前記事で触れたベイズの定理の哲学的な問題についても解説があります。
最後の数章はもう少し丁寧な解説が欲しかったですが、経験論から分析哲学までの流れをつかむにはとても良い本です。

日本では大陸系の哲学に関する本が多いですが、英米系の哲学に関する本ももっと増えてほしいものです。




・弁護士の血 (スティーヴ・キャヴァナー)

元は詐欺師でもあったニューヨークの弁護士エディーはロシアンマフィアのボスに爆弾の入ったベストで裁判所に入れと脅されます。
重要な証人を殺害して無罪になるためです。
娘も誘拐され絶体絶命になったエディーは娘を助けるために自分のあらゆる能力を使ってマフィアに対抗します。

いつ娘が殺されるかもしれない、自分も爆弾で殺されるかもしれないという緊迫した展開がスリリングで楽しいです。
法廷での駆け引きも面白いし、アクションシーンもいいアクセントになっています。
特にエディーが反撃に出るところは爽快です。

設定としてはありきたりなのですが、読者を楽しませてくれる一級のエンターテイメントです。





にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村

[ 2017/01/15 12:10 ] 今月のお奨め本 | TB(0) | CM(4)
ブログ村
にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
検索フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

相互リンクとコメントを頂いた方