人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2017年4月のお奨め本

2017年4月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・ロボットの心-7つの哲学物語 (柴田 正良)

ロボットに心は持てるのか。
ロボットに心を持たせようとしたら何が問題になるのか。
そんな難問を順序立てて解説しています。

哲学というよりは人間の認知機能とそれをロボットで実現しようとするソフトウェアの問題からの議論が大半です。
ロボットをより人間らしく見せるにはどのようなソフトウェア上の難問があるかをひとつづつ解決していくという流れです。
と言っても当然の現在の技術ではロボットが人間らしく振る舞えることなど不可能ですが。

著者はロボットは心を持てるという考えを支持します。
そしてクオリア(ありありとした感情)とは物理的基盤が実現できたのなら起きていることを推測するしかないということを述べています。
もしロボットが外見や会話、行動、すべてにおいて人間と変わりないところまでくればそれはやはり心が生じているとするしかないのでしょう。
人間でも他人が心を持つというのは推測でしかないのですから

入門書としてお薦めです。



・中国の誕生―東アジアの近代外交と国家形成―(岡本 隆司)

近代に入って中国は西欧に対して劣勢に立たされますが、その時に西欧と中国の国際秩序の概念に齟齬が生じます。
中国は朝貢体制とされる国際秩序を持っておりそれは強国である西欧列強が築き上げた国際法とは共存しにくい概念でした。
例えば中国は朝鮮の内政、外交には干渉しませんがそれでも属国とします。
政治的な支配をしていない以上は国際法からすればそれは完全な独立国でも中国からするとそうではありません。
本書では中国が東アジアで西欧や日本に押され、国際法と自らが考える国際秩序をすり合わせていかざるを得ない過程を資料から掘り起こしています。
主にベトナムを巡ってフランスと、琉球、台湾、朝鮮を巡って日本との交渉にかかわる資料を使っています。

かなり面白いです。
現代につながる中国が考える東アジアを巡る秩序の原点がこの時代なのでしょう。
ただし資料を使った細かい議論で一般向けとは言い難いです。




・ユダの覚醒(ジェームズ・ロリンズ)

シグマフォースのグレイ隊長のもとに傷を負った敵の組織ギルドのセイチャンが助けを求めてきます。
人類の危機が迫っているというセイチャンとともにマルコポーロにまつわる謎を解き明かすべくグレイはイスタンブールに飛びます。
一方インドネシア付近で謎の疫病が発生しその調査のためにシグマフォースからメンバーが派遣されていましたが、臨時の病院船がギルドに乗っ取られます。
人類の危機とはマルコポーロも遭遇した疫病の復活でした。
シグマフォースとギルドが病原菌とその治療法を巡って戦います。

シグマフォースシリーズの三作目です。
科学と歴史がミックスされた安定の面白さです。
今回は歴史の謎が少し弱いと思いましたが、疫病の仕組みのアイデアが良かったです。



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[ 2017/05/06 21:01 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(2)

2017年3月のお奨め本

2017年3月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・あるようにあり、なるようになる 運命論の運命(入不二 基義)

全てのことは必然なのか、それとも偶然なのか。
著者は論理的運命論と名付けて因果論的ではなく形而上学的に論じていきます。
排中律を駆使し、過去・現在・未来の在り方と可能性の様相といった議論からこれまでの運命論からさらなる高みへと登っていくように思えます。
哲学者というのはとてつもなくどうでもいいことにこだわり考え続ける人種だなあと改めて思いました。
運命論の正当性について述べよと言われても私などはせいぜい1000文字ぐらいしか書けないです。
しかし彼らは様々な議論を駆使して驚くべき議論を展開してしまいます。
私のようなろくに考えない人間はただひたすら圧倒されて眩暈を起こすのみです。
この本は本人もいうように入不二さんの一つの到達点だと思います。
こんなどうでもよくて、そして真なることがたとえ分かったとしても何の意味があるのかわからないようなことでも哲学者は問い続けずにはいられないのです。



・クリミア戦争(オーランドー ファイジズ)

クリミア戦争の全体像を描いた力作です。
特にイギリスとロシアでの戦争に至るまでの政治的、世論的な経緯を詳細に記述しています。
現代人は第一次世界大戦と第二次世界大戦を時代を隔てる画期のように考えます。
しかしクリミア戦争こそが最後の騎士道精神を残しつつ、最初の総力戦、世界大戦と言えると著者は強調します。
クリミア戦争ではジャーナリズムが世論を形成し、世論が外交に影響を与え、電信技術が発達し、戦場での医療体制が発展し、戦場に鉄道が引かれるなどクリミア戦争で見られた戦争の変質は注目すべきことがいくつもあります。
ヨーロッパであり、キリスト教国であるイギリスとフランスがオスマン帝国と同盟を組んでロシアと戦い、オスマン帝国各地で民族の独立運動は勢いを増して帝国が解体へと進んでいき、ロシアでは農奴解放が進みきっかけとなったことなどやはりもっと知られてよい戦争なのだと思います。

この本を読んで驚いたのですが、この時期のイギリスの陸軍はフランスと比較してかなり遅れていたようです。
補給体制や医療体制、士官と兵隊との関係などフランスと比較すると前時代的に描かれています。
戦闘も無茶なことばかりしていたずらに死者を増やしていきます。
どうもイギリス軍の強さはやはり海軍で、陸での戦いは金で他国の兵士を雇うようなことが多かったため陸での戦いには慣れていなかったようです。



・暗殺者グレイマン (マーク・グリーニー)

元CIAの工作員で凄腕の暗殺者グレイマン。
グレイマンは暗殺を請け負いイラクでアフリカの大臣を暗殺に成功します。
しかし大臣の兄である大統領は復讐から多国籍企業にグレイマンの暗殺を命じます。
世界各国の暗殺チームがグレイマンを暗殺するために招集されます。

凄腕過ぎる元CIAでしかもCIAから暗殺者リストに載せられているという分かりやすい設定です。
そして次から次へと迫りくる暗殺者と戦闘して負傷しながらも強靭的な体力と精神力で生き残っていきます。
何ともありがちですし、複雑性のないシンプルなストーリーなんですが面白いです。
私はもっと渋い感じのハードボイルドが好きなんですが、暗殺者にしてはいい人過ぎてしかも超人的に強く、そしてさくさくと読めるテンポの軽い明るいハードボイルドも楽しいです。
アクション映画のようなストーリー展開が好きな人にはお薦めです。



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[ 2017/04/01 19:03 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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