人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2018年4月のお奨め本

2018年4月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・歌うカタツムリ――進化とらせんの物語 (千葉 聡)

進化論の発展に大いに貢献したカタツムリを通して進化論の歴史を追っていきます。
ダーウィンから始まり、木村資生やグールドといった進化論の世界で著名な人たちが登場します。

進化論の研究ではカタツムリは欠かせない研究対象でした。
カタツムリの殻が場所によって多様なのはどうしてか、自然に適応したためか、それ以外の理由なのか、激しい論争が繰り広げられてきました。
片方の勝利かと思われたら、もう片方が巻き返したりと二転三転としながら、遺伝子研究や古生物学の発展を取り入れながら進歩していくのを研究者のエピソードを交えながら解説しています。

面白いです。
カタツムリを主役にしているのでカタツムリの研究の話ばかりですが、これほど進化論の研究にカタツムリが貢献しているとは知りませんでした。
カタツムリに情熱を捧げている人がこんなにもいて、そして実際に進化論の研究に大いに貢献していたのは非常に楽しく、驚きますし、情熱をもって何かに夢中になるっていいなと思わされます。



・哲学者たちのワンダーランド 様相の十七世紀(上野 修)

17世紀の代表的哲学者、デカルト、スピノザ、ホッブズ、ライプニッツを取り上げています。

同時代の哲学者たちが互いにどのような影響を与えていたのかを知ると哲学がぐっと面白くなると思います。
そして一気に理解が深まるのではないでしょうか。
独立した哲学的著作を理解できるような人は相当の強者だけです。
そしてこの本は薄い本ですが、4人の哲学者の思想の関係はどのようなものかを興味深い視点からまとめています。

否定が不可能なものをコギトにしか見いだせなかったデカルト、一切を必然として世界とは神であると過激すぎるスピノザ、社会ををシミュレーションの発想で描いたホッブズ、そして世界を危険なものにしてしまった3人の思想を修復しようとするライプニッツ。

個々の思想を深く解説しているわけではないのですが、著者の視点から比較することでこれらの哲学者の新しい見方を教えてもらえたような気持になりました。



・ミレニアム2 火と戯れる女 (スティーグ・ラーソン)
・ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(スティーグ・ラーソン)

前作で女性調査員リスベットに叩きのめされた弁護士が復讐を誓って策略を巡らせます。
同時に雑誌「ミレニアム」で人身売買の記事を発表する予定だったジャーナリストが恋人ともに殺害される事件が起きます。
この事件と弁護士による復讐と交差して、リスベットは警察に殺害で追いかけられることになります。
リスベット、警察、ジャーナリストのミカエルは殺害事件の黒幕を追っていきます。

2部と3部は繋がっており連続で読むのが良いです。
前作とは少し趣が異なり、警察や公安も巻き込んだ駆け引きのゲームのような展開になります。
前作も面白かったですが、本作も相当面白いです。
前回のような事件がまたおきて、リスベットが超人的な活躍をしてというのを予想していたのですが、いい意味で期待を裏切られました。

素晴らしいシリーズです。





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[ 2018/05/08 17:05 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(6)

2018年3月のお奨め本

2018年3月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・現金の呪い――紙幣をいつ廃止するか?(ケネス・S・ロゴフ )

紙幣を廃止して少額の貨幣のみを残すレスキャッシュ社会を提言する本です。
前半は紙幣のもたらす社会的な効用と弊害について述べています。
もちろん著者は弊害のほうが大きいと考えており廃止により地下経済に相当の打撃を与えるだろうと考えています。
後半は紙幣の廃止によって可能になるマイナス金利政策について解説しています。
紙幣の価値貯蔵機能がある限りマイナス金利は難しく、紙幣を廃止するとマイナス金利の深掘りができ、不況の早期脱出に貢献するだろうと主張しています。

私は紙幣も通貨も廃止してほしいと思っています。
単純に持ち歩きが非常に不便だからであり、ATMの設置コストやレジのコスト、現金の輸送コストなどが無駄に思えるからです。
そして著者の言う通り脱税や組織犯罪の価値貯蔵や持ち運びのコストを低め犯罪のコストを下げているからです。
日本の通貨発行量は106兆もありますが、地下経済に大きな金額が流れていることでしょう。
著者は災害時や停電、個人情報の匿名性の維持を目的に貨幣は残すべきとしていますが、北欧の例を見ると貨幣も最終的に駆逐されるのではないかと思っています。

後半のマイナス金利についてはなかなか興味深いものでした。
私はそんなにうまくいくのか少々懐疑的ですが、必要なだけマイナス金利を深掘りすることにより不況から脱出して実際にはマイナス金利の期間はそれほど長くならないと考えているようです。

本書のように紙幣を総合的に論じたものはあまりないのではないでしょうか。
紙幣の使われ方の実際や具体的な廃止方法などとても興味深い本でした。




・ニュートリノ (多田将)

ニュートリノの研究者が素粒子の簡単な説明からニュートリノ、そして日本のカミオカンデ、スーパーカミオカンデがどのような発見をしたのかまで易しく解説しています。

いやあ、面白いです。
そして無茶苦茶分かりやすいです。
素粒子の説明は本書が一番分かりやすいと思いました。
脱線した話もあるのですが、このような素人向けの本ではいい味を出しています。

あまりにも小さすぎて1秒間に600兆個も浴びているはずなのに何も感じない物質を一体どのように捉えるのか。
直接は捉えることができないので間接的に捉えるしかありません。
ニュートリノに限らず、理論でこういうことが起こりうるはずだというのが技術の進歩により実験で数十年後に実証されるとはロマン以外の何物でもないです。

とても面白かったので著者の他の本も読んでみようと思います。




・ヴェサリウスの秘密 (ジョルディ ヨブレギャット)

1888年のバルセロナ万博の年に父の死の知らせによりイギリスからバルセロナから戻った大学教授のダニエル。
ダニエルは父が残したノートを発見しますが、そこには父の友人の医師の奇怪な記録と16世紀の解剖学者ヴェサリウスの幻の本について書かれていました。
その頃バルセロナでは若い女性が次々と殺される事件が起きており、やがてダニエルは新聞記者、そして医学生とともに連続殺人事件の真相に迫っていきます。

19世紀のバルセロナを舞台にしたサスペンスものです。
当時の時代の雰囲気を楽しみながら読む冒険活劇といったところです。
謎解きの部分や真相が少し物足りない感じがしましたが、3人の主役、特に医学生のパウがいい味を出していて、このトリオの続きの話を読みたいと思わせるものでした。





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[ 2018/04/07 16:01 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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