人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2018年6月のお奨め本

2018年6月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。


・時間の非実在性 (ジョン.エリス・マクタガート )

マクタガートの著名な論文「時間の非実在性」の永井均による日本語訳と詳しい注釈です。
これだけ有名な論文にもかかわらず初めての日本語訳です。
マクタガートのA、B、C系列という言葉はよく出てくるのでこの論文は読んでいたほうがいいと思います。
この論文への批判はかなりありますが、議論のたたき台として使われてきた論文ですし、その視点のユニークさはやはり面白いと思います。

訳者による注解は論文の解説というよりは自分の考えを述べる土台としていますが、この注解が面白かったです。
マクタガートは「いま」という捉えどころのなさに注目したのであり、訳者は「わたし」という比類のなさと同じ構造であると考えます。
何らかの主体を想定した時に議論は深い混迷の世界に入っていくようです。

他の時間論とは少し捉え方が違いましたが面白いです。





・西洋美術史入門 (池上 英洋)

初めて美術史に触れる人向けの入門書です。
中高生向けという感じなので易しいですし、すぐに読めます。

絵画をはじめとする美術は現在以上にメディアとしての役割が大きく、個人が趣味として美術を楽しむようになったのは近代に入ってからです。
それだけ過去の社会は美術と深く結びついており美術から歴史が見えてきます。
美術は文字を読めない庶民でも見ることができたので、文字による資料よりもよりその時代を映し出しているのかもしれません。

美術はどのような社会的背景があって描かれたのが、どうしてそのような様式で描かれたのか。
そのようなことを考えるのが美術史ですが、その意味で特に興味深かったのはオランダです。
周りの国の絶対王政ではなく共和国であった17世紀のオランダでは個人が美術を楽しむようになってきたそうです。
と言ってももちろん富裕な商人ですが、このことが描かれる対象、作品の技法や大きさなどに影響を与えたようです。
富裕な商人と言っても王様ではありませんから、資力も限られていますし、普通の家に飾るということ前提となり、近代の絵画の方向性に影響を与えたということでしょう。

美術史に興味を持った時の最初の本として最適だと思います。




・ザ・ポエット (マイクル コナリー)

記者のジャックは双子の兄で殺人課の刑事を亡くします。
最初は自殺として処理されますが、ジャックは殺人事件であることを突き止めます。
そして他州でも刑事による自殺のいくつかのケースで兄の事件と共通点があることを知ったジャックは兄を殺害した犯人を追い始めます。

ジャックとFBIの捜査過程がテンポよく展開するのを楽しむ本です。
ジャックの人物描写が若干退屈なのと結局犯行理由がよく分からないのが消化不良でしたが、読みだすと止まらないタイプの小説でした。
ハリーボッシュシリーズよりはエンターテイメント性が高いです。





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[ 2018/07/08 17:31 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)

2018年5月のお奨め本

2018年5月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (深井 智朗)

ルターから始まるプロテスタンティズムの歴史を現在まで素描しています。

プロテスタンティズムと言えばルターを思い浮かべると思います。
あるいは経済に興味のある人であればウェーバーのプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神を思い浮かべるかもしれません。
しかし、ルターの95か条の提題から500年の時が流れました。
当然のことながら、プロテスタンティズムは様々な歴史をたどってきました。
著者は政治と深く結びついた保守的な古プロテスタンティズムと政治とは切り離された自由を求める革新的な新プロテスタンティズムを区別して論じます。
この二つの大きな流れは現在までどのように歩んできたのか。
ルター以後、ピューリタンのアメリカ移住、ドイツの統一でのプロテスタンティズムの役割、現代のドイツとアメリカでのキリスト教の在り方、近代の自由主義、人権とプロテスタンティズムなどプロテスタンティズムの歴史を大まかに掴むことができる本です。




・ビジュアル 数学全史――人類誕生前から多次元宇宙まで(クリフォード・ピックオーバー )

数学の歴史を250のトピックにして1ページに1つを解説しているというユニークな本です。
完全に独立しているので辞書のようにも読めます。
ギリシアの数学者の定理からニュートンやフェルマーといった天才、そして現代のコンピュータやルービックキューブまで様々な数学上の発見やその社会的な影響を解説しています。

数学的な知識はなくてもある程度は理解できるようになっています。
深く理解するのは当然数学の知識が必要ですが、なんとなくは数学の歴史の流れがつかめると思います。

数学に興味がないと退屈際回りないかもしれませんが、興味があれば楽しく読める本です。



・深い疵 (ネレ・ノイハウス)

92歳のユダヤ人の老人が殺害されます。
そこには「16145」という謎の数字が残されていました。
ユダヤ人の老人が実はナチスの親衛隊員だということが分かり、その後、連続で老人が殺害されていきます。
次々と起こる事件とナチスはどのように関係しているのか。
刑事のオリバーとピア暗い歴史と複雑に絡んだ謎に挑みます。

オリバー&ピアシリーズの最初の邦訳で代表作の一つです。
このシリーズは重厚な刑事ものですが、今回はナチスが絡んでくるせいかより重厚な雰囲気になっています。
前半は次々とエピソードが語られて話が一向に見えてこない感じがしましたが、後半で一気にそれらのエピソードがつなぎ合わせられていきます。
ナチスが出てきますが、それほど小説に影響を与えるとは私は感じませんでした。
ナチス時代の犯罪に端を発したものですが、過去の犯罪がよみがえりそれを終結させるミステリのタイプです。
警察小説が好きな人にはお薦めです。




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[ 2018/06/10 12:53 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(2)
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