人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2017年3月のお奨め本

2017年3月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・あるようにあり、なるようになる 運命論の運命(入不二 基義)

全てのことは必然なのか、それとも偶然なのか。
著者は論理的運命論と名付けて因果論的ではなく形而上学的に論じていきます。
排中律を駆使し、過去・現在・未来の在り方と可能性の様相といった議論からこれまでの運命論からさらなる高みへと登っていくように思えます。
哲学者というのはとてつもなくどうでもいいことにこだわり考え続ける人種だなあと改めて思いました。
運命論の正当性について述べよと言われても私などはせいぜい1000文字ぐらいしか書けないです。
しかし彼らは様々な議論を駆使して驚くべき議論を展開してしまいます。
私のようなろくに考えない人間はただひたすら圧倒されて眩暈を起こすのみです。
この本は本人もいうように入不二さんの一つの到達点だと思います。
こんなどうでもよくて、そして真なることがたとえ分かったとしても何の意味があるのかわからないようなことでも哲学者は問い続けずにはいられないのです。



・クリミア戦争(オーランドー ファイジズ)

クリミア戦争の全体像を描いた力作です。
特にイギリスとロシアでの戦争に至るまでの政治的、世論的な経緯を詳細に記述しています。
現代人は第一次世界大戦と第二次世界大戦を時代を隔てる画期のように考えます。
しかしクリミア戦争こそが最後の騎士道精神を残しつつ、最初の総力戦、世界大戦と言えると著者は強調します。
クリミア戦争ではジャーナリズムが世論を形成し、世論が外交に影響を与え、電信技術が発達し、戦場での医療体制が発展し、戦場に鉄道が引かれるなどクリミア戦争で見られた戦争の変質は注目すべきことがいくつもあります。
ヨーロッパであり、キリスト教国であるイギリスとフランスがオスマン帝国と同盟を組んでロシアと戦い、オスマン帝国各地で民族の独立運動は勢いを増して帝国が解体へと進んでいき、ロシアでは農奴解放が進みきっかけとなったことなどやはりもっと知られてよい戦争なのだと思います。

この本を読んで驚いたのですが、この時期のイギリスの陸軍はフランスと比較してかなり遅れていたようです。
補給体制や医療体制、士官と兵隊との関係などフランスと比較すると前時代的に描かれています。
戦闘も無茶なことばかりしていたずらに死者を増やしていきます。
どうもイギリス軍の強さはやはり海軍で、陸での戦いは金で他国の兵士を雇うようなことが多かったため陸での戦いには慣れていなかったようです。



・暗殺者グレイマン (マーク・グリーニー)

元CIAの工作員で凄腕の暗殺者グレイマン。
グレイマンは暗殺を請け負いイラクでアフリカの大臣を暗殺に成功します。
しかし大臣の兄である大統領は復讐から多国籍企業にグレイマンの暗殺を命じます。
世界各国の暗殺チームがグレイマンを暗殺するために招集されます。

凄腕過ぎる元CIAでしかもCIAから暗殺者リストに載せられているという分かりやすい設定です。
そして次から次へと迫りくる暗殺者と戦闘して負傷しながらも強靭的な体力と精神力で生き残っていきます。
何ともありがちですし、複雑性のないシンプルなストーリーなんですが面白いです。
私はもっと渋い感じのハードボイルドが好きなんですが、暗殺者にしてはいい人過ぎてしかも超人的に強く、そしてさくさくと読めるテンポの軽い明るいハードボイルドも楽しいです。
アクション映画のようなストーリー展開が好きな人にはお薦めです。



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[ 2017/04/01 19:03 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)

2017年2月のお奨め本

2017年2月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・哲学入門 (バートランド・ラッセル)

確実な知識とは何なのでしょう。
目の前にある机は何も疑いなく実在しているのでしょうか。
ラッセルは感覚が受け取るデータをセンスデータと呼びセンスデータを介してしか机を認識することはできないのではないかというところから考えます。
そこから帰納や演繹により獲得できる知識、普遍へと議論を広げていきます。

まさに哲学入門として素晴らしい本です。
原題は「哲学の諸問題」ですが、初心者が哲学がどのように物事を考えるのかを辿っていけるような本です。
知識があまりなくても読めますが、内容は深く哲学の面白さを実感できる本だと思います。




・キリスト教とローマ帝国(ロドニー・スターク)

キリスト教がなぜローマ帝国で国教となるまでになったのでしょうか。
宗教社会学者がキリスト教の発展を社会理論を駆使して論じます。

歴史学の本を読んでいると批判的な学問なのか、個々の材料から紡ぎだした物語なのかわからなくなることがあります。
資料が少ない昔の事であればあるほど資料の欠落を何らかの方法で埋めなければなりません。
それを埋めているのは科学的な推測ではなく、研究者の思いや時代の思想風潮ではないのだろうかと思うことがあります。

著者は現代の新興宗教を研究対象とした宗教社会学者であり古代キリスト教の専門家ではありません。
資料も1次資料にはあたっていません。
しかし社会理論を使って古代キリスト教の研究に新しい光を当てています。
統計的な推論からキリスト教人口の推移を予測したり、現代の新興宗教の拡大過程を古代のキリスト教にも適用して論じます。
その他にも拡大過程でのユダヤ人の取り込み、教会での女性の地位、シナゴーグや教会の散らばりや中心都市からの距離なども分析しています。
時代が異なっても人の心性や行動で変わらない部分が多いはずです。
社会理論が歴史資料を構成して欠落を埋めるのに強力な武器となることを証明しています。

少し違った視点から古代キリスト教を知りたい人におすすめです。




・ザ・サン 罪の息子 (ジョー・ネスボ )

警察の情報を流す汚職警官だった父を持つサニーは薬物中毒で数々の殺人事件の犯人として刑務所にいました。
ある時刑務所内で父の死の真相を知らされることになります。
サニーは脱獄に成功してザ・トウィンと呼ばれる裏社会のボスと真の汚職警官への復讐劇が始まります。
そしてサニーの父の親友であった刑事のシモンは一時ギャンブル中毒に溺れながらも妻と出会い中毒から抜け出していました。
シモンは新米のエリート刑事カーリとともに連続殺人事件を追い、やがてサニーと交錯していきます。

警察小説好きならおすすめです。
小説で薬物中毒の話が出てきますが、刑務所で簡単に薬物が手に入るなどノルウェーは薬物中毒が社会問題になっているそうです。
ノルウェーは豊かで高福祉の国という印象を持っていましたので意外に思いました。
豊かだからといって心の隙間を塞ぐことは難しいのでしょうか。



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[ 2017/03/04 15:40 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)
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