2017年12月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。
・宇宙に「終わり」はあるのか 最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで (吉田 伸夫)宇宙の始まりから終わりまでの壮大すぎる歴史の本です。
宇宙に素粒子が生まれ、様々な物質が形成され、星が生まれ、ついには知的生命体が生まれるにはどのような歴史を歩んできたのでしょうか。
これからも星が消滅して、再び生まれ続けるのでしょうか。
現在は宇宙史から見るとどのような位置にいるのでしょうか。
そして宇宙は最後にはどのような状態になるのでしょうか。
何もないところからどのようにして私たちが誕生してきたのかを考えるとロマンが尽きません。
ちっぽけすぎる存在の人類が宇宙全体のことを解明しようとしていることに驚きますし、ここまで解明されているのかと感動を覚えます。
それほど難しくないので是非読んで欲しい本です。
・興亡の世界史 イスラーム帝国のジハード (小杉 泰 )イスラームが生まれてからアッバース朝までの歴史書です。
イスラーム初期の歴史入門書として最適ですが、歴史的な史実よりは社会と宗教、人物に焦点を置いています。
イスラームが分かりにくいのは宗教と社会が一致していることだと思います。
日本人のように宗教と社会、政治を分離して考えることになれていると、統治者と宗教の関係などはどうにもよく分からないでしょう。
イスラームの誕生とその成長過程とイスラーム帝国の成長の歴史をたどることによって理解の一助となると思います。
とても分かりやすいのですが、一方でイスラームに対する批判的精神に欠けていることも念頭に置いておくほうが良いと思います。
この世代の日本人の研究者はイスラーム大好き、西欧によるイスラームに対する偏見への嫌悪が特徴です。
特に著者はその傾向が強い人です。
最近の若手はステレオタイプな欧米批判、イスラーム擁護のようなことがなくなってきていると思いますが、自分の研究分野に思い入れを持ちすぎて批判的な精神を忘れがちな人がイスラーム研究者に多いと思います。
・ラスト・コヨーテ (マイクル コナリー)上司を殴り停職処分中の殺人課の刑事ボッシュは強制的に精神カウンセリングを受けされられます。
やがてボッシュは心の隅で引っかかっていた母親の未解決の殺人事件を調べ始めます。
ボッシュの母親は娼婦でボッシュを養護施設から出そうとしていたのですが、それはかなわないまま殺されてしまいました。
ボッシュはいくつもの違反行為を犯して個人的な捜査を始めます。
やがてある大物が捜査に介入していたことを突き止めます。
シリーズの中でも傑作と名高い作品です。
ボッシュという人間が形成されてきた過程を描く重要な作品でしょう。
ボッシュの家の近所にはコヨーテが時折現れるのですが、ラストコヨーテというタイトルも作品を象徴しています。
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宇宙の謎は解明されているのでしょうか。このように解釈すれば理屈がつくといったところでしょうか。宇宙の外は何か。
結局私は何者なのか。私は4月から無職中高年予定者です。