人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2019年11月のお奨め本

2019年10月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・私たちはなぜ税金を納めるのか: 租税の経済思想史 (諸富 徹)

17世紀の市民革命から現在までの税制の歴史をたどります。

近代国家での税金の政策上の意味の変遷や税金の徴収制度が分かりやすくて面白いです。
科学技術などと同じく税金の制度が変わるのもやはり戦争です。
ヨーロッパの国王は戦争があるたびに国庫が空になり議会の招集をかけて税金を取ろうとしますが、それに市民は抵抗しつつも国王と市民との力関係も変化していくのはまさに近代ヨーロッパの歴史です。

税金を徴収する方法は当初は関税や消費税などの比較的徴収しやすい制度から所得税へと変わっていき、現代では再び所得税の割合が下がっていくという税収の内訳も技術的、公平性の観点などから変化していいきます。
特にアメリカでの所得税導入の歴史が詳細に解説しており興味深いです。
アメリカでも南北戦争時に所得税が導入されますが、戦争後には廃止されます。
その後所得税が憲法違反とされるなど紆余曲折を経ますが、富裕層に税金を払わせるためなどで所得税を国家が完全に導入できるのは第一次世界大戦頃のことです。

税金は国家運営の財源だけでなくある目的を達成するための政策的な意味でも重要です。
昔からある関税制度による産業政策、独占の抑制のような競争市場の維持、所得の再分配のような社会政策があります。
その萌芽は19世紀ドイツの有機的国家観に見られます。
そして現在では国境を越えた過度な投機を防ぐために金融取引税を導入している国もあるように政策的な意味はより重要視されるようになっているのではないでしょうか。

分かりやすくまとまっておりお薦めです。




・エネルギーの科学史 (小山 慶太)

熱エネルギーを利用した蒸気機関に始まり、電気エネルギー、核エネルギー、そして反物質や暗黒エネルギーに至るまでの近代以降のエネルギーの歴史を解説しています。

実際に人類が利用しているエネルギーの話とそれ以降の現在利用できていないエネルギーで内容が少し異なります。
核エネルギーの章までは人類がどのようにして現代の人類の活動の基盤となる動力を手に入れてきたかが面白く解説しています。
19世紀に蒸気機関による自動計算機の設計がされたとあるのですが、何かを動かすというエネルギーを手に入れたときから甚るの生活は無限に広がってきたように思います。
ちなみにその自動計算機は当時は予算不足などで作れなかったそうですが、200年後にロンドン科学博物館が完成させたそうです。
反物質の章以降は実際には利用されていないエネルギーで内容も難しくなりますが、反物質とそのエネルギーについては特に面白いです。

面白い本ではあるのですが、説明が簡潔であるために基礎知識がある程度ないと難しいかもしれません。
理解できないところがあればネットで調べる必要があります。




・悲しみのイレーヌ (ピエール・ルメートル)

2人の女性が極めて残忍に殺害されます。
捜査にあたるヴェルーヴェン警部はやがて過去の未解決事件との繋がる連続殺人事件であることを突き止めます。
動機や関連性が明らかになっていくのですが、それは思ってもいないものでした。

最初はイメージしやすい描写とサイコ的な殺人事件を追いかける一風変わった刑事たちが面白かったのですが、最後は思っていない方向へと進みちょっと驚いてしまいました。
このタイプの刑事ものではあまり考えにくい展開で小説の全体像を知った時は犯人に私まで踊らされていたような気持になり、著者の狙いにまんまとはまりました。



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[ 2019/12/07 15:22 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(0)

年金と不確実性

少し前に金融庁が老後の生活には2000万円が不足していると指摘した報告書の問題で盛り上がっていました。
報告書の詳細は知りませんが、今の高齢者の資産額が2000万程度とすると取り崩し額はそんなものかなとも思います。

そしてお決まりのことですが、野党の政治家を中心に年金払えとか訳のわからないことで盛り上がったようです。
代議制民主主義とは政治家に専門的な役割を託しているものですが、どうして政治家は専門家としての役割を放棄してしまうのでしょうか。
あるいはそもそも最低限の知識も持ち合わせていないのでしょうか。

情けないのは年金払えとかいうデモまであったようです。
どうして社会的に不公平な制度の改善を求めるのではなく、とにかく金寄越せと言ってしまうのでしょうか。
これほど政府依存の人間がどうやって社会でやっていくのでしょうか。

多くの国民は年金が破たんするのではないか、思ったほどもらえないのではないかと不安を感じています。
厚労省の審議会の専門家はメディアが不安を煽るばかりで現状を正しく伝えていないと批判をします。
私は国民が不安に思っており、メディアのおもちゃになっている時点で現在の年金制度はダメだと思っています。

よく分からないから不安に思うのです。
よく分からないのは制度が複雑であったり、政策に左右されるからです。
同じ国民なのに公務員と会社員、自営業で制度が異なっているのもおかしなことですし、もらえる年金の計算は名目、実質、所得代替率などよく分からない言葉が並びます。
支給には繰り上げや繰り下げがあったり、働いている高齢者の減額がありますし、会社員の場合の会社負担分や専業主婦の特別扱いなどわけわかりません。
これでは不安にもなりますし、よく分からないから政府に年金寄越せというようになります。

経済活動は不確実なことばかりで、不確実性は経済活動に非効率や委縮をもたらします。
そのために明確なルールを決めたり、安定的な財政、金融政策が求められるわけです。
しかし、一方で不確実性は政治家や公務員にとっては利益と権力の源泉です。
不確実性は恣意性と表裏一体で政治家の力が大きくなるからです。

じゃあ、どうすればいいのでしょうか。
とても簡単で当たり前の結論ですが、確定拠出型にして、世代ごとに長生きリスクを負担すればよいだけです。
世代ごとに死亡率を計算して短命の人の余剰分を長命の人に年金を回せば問題ありません。
そうすると年金は自分の貯めた分がもらえて寿命による調整はありますが、不確実性などありません。
もちろん運用リスクが生じますが、それは自分でリスクを決めることができます。
さらに現在の年金制度にかかわる組織が効率化されることも馬鹿にならないのではないでしょうか。
年金に関連する職員たち、100年安心年金の検証や年金制度のあり方とかを延々と議論する会議や政治家の無駄な時間、メディアの記事などが必要なくなります。
必要なのは掛け金や税金の控除、寿命による金額調整の決定ぐらいです。
富裕層の負担を多くするか、年金額が少ない人の扱い、遺族の保険の役割などもありますが、平均的な人の支給に大きな影響はないでしょう。

個人的には年金制度は完全に一本化して、雇用者負担をなくしてその分を被雇用者の給料にする。
掛け金の割合は現在の雇用者負担と被雇用者負担の合計と同じぐらいにしておく。
最低掛け金を年40万にぐらいにする代わりに所得が少ない場合は国が負担する。
その代わりに現在の国の負担分をなくす。
年金資産額が多い人は年金資産額と年齢から計算して低年金者に対して一定額を負担する。
引き出しは年金資産額によって制限を設けて個人の年金資産が枯渇しないようにする。
ぱっと思いつく限りではこんな感じでしょうか。

国家が強制的に年金に加入させるのは自由に反するという考えもありますが、私は逆に国家が積極的にかかわるべきだと思います。
年金問題であれだけ盛り上がるように、少なくない国民が基本的な金融知識もなくほっておくと老後の生活が破たんする可能性があるからです。
高齢化社会で生活保護の老人が溢れてしまう可能性があることはそれこそ重大な不確実性です。

おそらく私が死ぬぐらいまでは不毛な年金の議論をし続けるのだと思います。
抜本的な改革は無理でしょうし、急に人口が増えたり、経済成長をする可能性も限りなく低いでしょう。
野党と一部の国民は金寄越せと言い続けながらも政府はこのままずるずると調整しながら繕い続けるとと思います。
それならそれで個人はそのような制度を前提としてライフプランを立てるしかありません。
自己責任という言葉がネガティブな使われ方をするようになってきましたが、自分で考えない人、自分で努力をしない人が報われることはありません。

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[ 2019/11/17 17:24 ] 社会 | TB(-) | CM(2)
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