人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

MMT理論と万能な存在への憧れ

去年ぐらいからMMT理論がメディアを騒がせています。
高度成長が不可能になってきた現代では自分の現状に不満を持つ人が増えてきており、現状を打破してくれる思想や政策が求められているのでしょうか。

MMT理論は私にとっては謎理論で正直理屈がよく分かりません。
私の解釈では政府は完全雇用になるまで財政赤字を拡大して中央銀行はそれに応じた貨幣供給のみを行い金利は一定に維持する。
そして完全雇用を超えて実物の需要が供給を超えてインフレになった場合は増税で貨幣を吸収してインフレを制御するというのもです。
つまり物価の制御の責任は政府になります。
また、完全雇用になるまではクラウンディングアウトは起こらないとしているようです。

私にとって一番の謎は金利の世界はどうなるのだろうかということです。
MMT理論では中央銀行は金利を一定に維持する義務を負い量の調節を行い金利の調節はしないようです。
現在は世界的に債務が拡大していますが、現在の経済は物価のインフレより資産インフレが起こりやすくドットコムバブルやリーマンショックで世界経済は大きな痛手を負いました。
実物への需要が共有を上回るまで金利と物価は変わらないので、人々の期待もずっと変わらず物価に影響も与えないとするようです。

MMT理論では財政破綻はしないとよく言われますが、不完全雇用では金利が上昇しないまま国債を発行し続け、完全雇用では増税によって通貨を回収するので理論上は破綻はありません。
まあ、そんなことが可能ならそらそうでしょという感じですが。

MMT理論の細かな部分は置いておいて、私が感じるのは人々がいかに単純で絶対的な解決方法とそれを実現する万能な存在に憧れるかということです。
現代社会でもほとんどの人が完全な存在や魔法の杖を信じているように思えてしまいます。

私が考えるMMT理論の本質は政府の万能性への絶対的な信頼です。
政府が財政赤字を拡大して自由に貴重な資源を使ってもそれは国民の財産となるので豊かになり、インフレが生じた場合でも増税によって制御できるのならこれはもう政府が万能な存在になってしまったと言えるのではないでしょうか。
政府が正しい資源配分の方法も適切な物価も知っており、そしてそれを実現する実行力があるとするのです。
これでは計画経済という壮大な理想を掲げて悲惨な結果をもたらした共産主義国家と変わりません。
もちろん政府が本当に万能な存在であれば適切な需要、供給量、徴収すべき税金の額などをコントロールできるので、我々人類はついにMMT理論によってその都度の自然や技術レベルの条件下で最大の理想的な経済を手に入れることになるでしょう。

アベノミクスがはじまったときはリフレが実行可能で全てを解決するような幻想を持っていた人は多いと思います。
逆に白川総裁時代の日銀が日本の景気を悪くしたなどというのは日銀に万能性を求めるということでしょう。
そして万能性を求める裏にはそれを防げている悪者が存在します。
緩和しない中央銀行であったりアメリカやイギリスでは移民でしょうか。

考えてみると人類はずっと万能な存在と現状を損ねる悪者を想定しきてました。
宗教はその最たるものでしょう。
科学の進歩や人権思想などの発展でそういう風潮は弱まりましたし、極端な思想は影響力を減少させました。
それでもすべてを解決できる短絡的な解決法を人は求めるようです。
トランプさんやジョンソンのような人が大統領や首相になってしまいますし、日本ではれいわ新鮮組が荒唐無稽な政策を掲げて200万票を集めてしまっています。

社会でも個人でも地道な積み重ねの上に結果があります。
世界を一変する革命のように見えるものでもそれまでの積み重ねが必ずあるはずです。
そのような積み重ねを無視して一足跳びに完璧な世界を作ることもできないし、一方でそのような積み重ねを止めてしまっても進歩はありません。
私にはMMT理論のような全てを解決してくれる理論も反グローバリズムのような古き良き過去へ回帰するような運動も、現状を無視し単純化した万能な解決方法のみを求めているように思えます。

リフレもシムズ理論もメディアからは消えていきましたが、果たしてMMT理論はいつまで続くのでしょうか。
個人的にはシムズ理論はなかなか面白いと思っていたのですが。

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[ 2019/08/13 16:40 ] 社会 | TB(-) | CM(2)

2019年7月のお奨め本

2019年7月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・シナリオ分析 異次元緩和脱出 出口戦略のシミュレーション(高田 創 )

ふくらみに膨らんでしまった日銀のバランスシートをいかに正常に戻すか。
現状では議論すらできない日銀の出口戦略をシミュレーションを3つの観点から議論しています。
一つは日銀のバランスシート縮小でありうる日銀の債務超過、一つは日本の財政、そして最後にマイナス金利で収益が減っている金融機関です。

この手のシミュレーションは非常に難しいものです。
日銀が金利を上げると日銀の収支や財政、景気などに様々な経路で影響を及ぼします。
これらを考慮に入れての予測は難しく、あくまである程度の条件を設定せざるを得ません。
それでも本書では出口戦略の様々なケースを検討して具体的な数値で政府や日銀、金融機関にどのような影響を与えるかを予測している意欲的なものだと思います。
いつかは日銀も出口戦略を模索するはずでこのような議論のたたき台となるような研究は貴重です。

本書のシミュレーションはどれも針の穴を刺すような政策となるものでした。
果たしてますますポピュリズムが吹き荒れる日本でこのようなことが可能なのか疑問です。
しかし、一方で大きな痛みはありながらも出口にたどり着くのが早ければソフトランディングになることも可能なのではないかという印象も持ちました。
本書でも指摘されるようにそもそも本当に出口にたどり着けるかがかなり疑問です。
シミュレーションははあくまで景気が浮揚しインフレが起こってからの出口戦略という前提に立っています。
そして厄介なことに日銀の抱える国債の利回りがこれから低下していき、付利が上回る時期が迫ってきています。
つまりこのままずるずるといってもさらに新たな異次元な世界に入っていき、進も引くも苦難の道がまっています。

もうすでに進退窮まった日銀の政策は果たしてどうなってしまうのでしょうか。
出口戦略の具体的なところを知りたい人におすすめです。



・人工知能はなぜ椅子に座れないのか: 情報化社会における「知」と「生命」 (松田雄馬)

人工知能とはいったいどのようなものなのでしょうか。
人や動物が持つ知性を真似たものなのでしょうか。
あるいはまったく違うものなのでしょうか。
シンギュラリティが人口に膾炙して、AIがブームとなっていますが、一歩立ち止まって私たちの知性と人工知能の違いや関係について考えます。

AIが社会にどのような影響を及ぼしているか、シンギュラリティの衝撃といったような解説の本ではありません。
人工知能とはそもそも何かを私たちの知性と比較しながら解説している本です。

シンギュラリティなどというバズワードが広まり、世の中はAIブームでもあります。
けれどもAIが進歩したとはいえ、人間の知性と比較すると比べるまでもなく、シンギュラリティなんてものは当面は来ないでしょう。
当たり前ですが、AIが進化したと言っても所詮は人間が与えたただのアルゴリズムを超える目処は全く立っていません。

著者は私たちの知性と人工知能の根本的な違いを身体を持っていること、自己言及をできることとしています。
確かに人間は身体を持つことによって様々なものを認識できますし、自己言及ができることによって目的を持つことができますし、おそらく意思を持つこともできるのだと思います。
脳がそもそもそういう仕組みを持っているのでしょう。
ですから、SFであるような脳だけが維持装置で生かされているとき本当に知性を維持できるのかも疑問でなりません。

知性を持つとはどういうことか、生物の持つ知性の本質はどこにあるのだろうかということに興味がある人には読んで欲しい本です。
人工知能の話なのですが、こちらの話のほうが面白かったです。
AIが人間社会をどのように変えていくのかということを知りたいのならこの本はそれについてほとんど言及がありません。



・トランク・ミュージック (マイクル コナリー)

ロサンゼルスで崖上の空き地にとめられたロールスロイスのトランクから映画プロデューサーの男の死体が発見されます。
マフィアの手口で男はマフィアの資金洗浄に関わっていました。
殺人課のボッシュ刑事は資金洗浄をしていたマフィアを調べ始め、有力な証拠からラスベガスでマフィアの一員を逮捕しますが、そこから状況は二転三転していきます。

一匹狼の刑事ものハードボイルドです。
しかし、今回は理解ある上司と同僚に恵まれています。
途中で昔の恋人と再会してよりを戻すことさえします。
その分ハードボイルドの渋さが少し薄れているような感じもしますが、頑固で少々凶暴なボッシュは健在です。
今回も後半で二転さんてするのですが、伏線がはっきりしすぎていて驚きがないのが少々物足りなかったです。
それでもやっぱりボッシュはかっこいいです。




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[ 2019/08/06 15:52 ] 今月のお奨め本 | TB(-) | CM(4)
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