人生の暇つぶし

2016年にリタイアしました。アーリーリタイアや資産運用、旅、読書などのネタを徒然なるままに書き綴ります。

2018年11月のお奨め本

2018年11月に読んだ本の中でお奨めのものを紹介します。

・AIとBIはいかに人間を変えるのか (波頭 亮)

今後社会的にインパクトを与えるであろうAIと近年議論が途切れないベーシックインカムについての基本的な考え方とこれらが社会にどのような影響を与えるかを解説しています。

AIによって想定される労働力の過剰と仕事をしなくても生存を保証するベーシックインカムがセットで議論されることが多くなっているようなので本書を手に取ってみました。
AIとベーシックインカムの基本が手っ取り早くわかるので基本的なことを知りたい人にはお薦めだと思います。

ただしやはり一般人向けということもあり議論が大雑把ですし、著者が期待しすぎているのかこれらを肯定的に捉えすぎの印象を受けました。
また歴史や経済からの見解を述べることがあるのですがこれらの議論が浅すぎて全体が軽い印象になっています。

私はベーシックインカムの基本的な考え方は賛成です。
社会保障はベーシックインカムのようにシンプルな方法以外は著者が言うように利権の温床と非効率を生み出すだけだからです。
けれども現在の時点では財政的に不可能で著者も資産課税と消費税の増税で賄う考えです。
要するに金持ちの負担を一気に上げるということです。
今はまだ効率的な生存権の保障というよりは富の在り方や格差の是正がベーシックインカムの議論の本質になってしまっているのではないでしょうか。
しかし、AIが本当に人類の仕事のほとんどを代替してくれる日が来たならベーシックインカムも夢ではなくなるのでしょう。



・大分岐―中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成―(K・ポメランツ)

西欧が資本主義と産業革命によって近代社会へと発展して他の世界とは決定的に差をつけたのはいつなのでしょうか。
そしてその原因は何なのでしょうか。

西欧が成功したその秘密を探ろうとすると産業革命だけではなく、様々な制度やあるいは心性にまで資本主義的な萌芽を求めると時代はどんどん遡っていくことになります。
ローマ時代、ギリシャ時代にまで遡ることになるかもしれません。

しかし、著者は西欧と中国やインドを比較すると18世紀までは両者の社会、経済がそれほど大きくは変わらず、技術や市場の発達など西欧が優れていた点もアジアが優れていた点もあるとします。
では何が西欧と残りの世界を分けたのでしょうか。

著者は西欧が生態環境の制約を突破することができたからだと主張しており、それが19世紀に入ったころだとしています。
それまでは西欧も残りの世界も食料生産や利用可能な材木の制約が経済、人口成長を阻んでいました。
しかし、西欧、特にイギリスは石炭を利用することができるようになり、そしてより重要なことですが、新世界から食料や材木の調達をできるようになったことが残りの世界との決定的な差となりました。
西欧だけが工業製品を輸出して、食料や材木を輸入するという生態環境の制約を突破したのです。
産業革命を推し進めるには工場で働く労働者、食料や材木の輸入、工業品を売る市場がなければ不可能だったでしょう。
中国や日本にはできなかったことですが、西欧がこのような運に恵まれなければ中国や日本が先に近代化する可能性もあったということになります。

これらの議論を様々な資料を駆使して議論しています。
具体例を通して生態環境の制約がどれほど影響を与えるかがよく分かります。
専門書で事例が多いため冗長に感じるかもしれませんが興味がある人にはぜひ読んで欲しい力作です。




・ナイスヴィル 影が消える町 (カーステン・ストラウド )

ナイスヴィルという町で少年が忽然と姿を消しますが、封印された墓で発見されます。
もともとナイスヴィルは失踪者が異常に多い町だったのですが、それから銀行強盗や失踪、殺人事件が次々と起こります。
失踪した少年を引き受けた弁護士のケイトと夫である刑事のニックはナイスヴィルの不吉な影に翻弄されていきます。

種類としてはホラー小説になると思いますが説明しにくいジャンルです。
不吉な事件が立て続けに起こり徐々にナイスヴィルの呪われたある一族の歴史が明らかになっていきます。
ハラハラドキドキのエンターテインメントというのもではなく、じわじわと来るという感じです。
この世界にはまれない人には文学小説のような退屈なものかもしれません。
文庫本6冊の長編です。



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[ 2018/12/13 18:26 ] はじめに | TB(-) | CM(2)

経済成長を制御可能だと考える人

リーマンショックを予見できなかったり、デフレを克服できない現状からエコノミストを批判するような記事を見ることがあります。
これまでの経済学、特にマクロ経済学は経済政策には役に立たない代物であり、エコノミストは前回の消費増税の悪影響もきちんと予測できなかったなどと述べます。

もしエコノミストや経済学が現実の経済政策に役立たないのならどうすればいいのでしょうか。
不思議なことに批判する人たちは経済学から答えを出そうとします。
古いケインズ的な財政政策であったり、世界標準の金融政策のイノベーションを利用するなどと言います。
要するに俺は正しい経済学を知っており、正しい経済政策を知っているというのです。

一方、アメリカではトランプさんがアメリカの好景気は自分のおかげだと述べています。
安倍さんは日本のそれなりの好景気はアベノミクスの成果だと誇ります。
そして世論調査などで国民が政府に求めるのは景気対策です。

これらのようなことを目にすると、経済成長は人為的に制御することが可能であると考える人が多いように思えます。
多くの人が経済を制御可能と考えるなら政府に大きな役割を求めることもうなずくことができます。
日銀がデフレ経済の元凶だとか、財政を拡大して成長を促しそれによる税収の拡大で財政も維持可能などと言うような論理も受け入れられるのも分かります。

経済学は大きな発展を遂げてきましたし、社会にも大いに貢献してきただろうと思います。
しかし、景気のコントロールや経済成長をも操作可能なところまでは来ていないですし、おそらくそういう日は来ないのではないでしょうか。
医学は発展してきましたが、未だに不老不死は実現できていないです。
不老不死でさえまだ実現できていないのに、より複雑な経済成長の制御なんて達成できるはずがありません。

ほとんどの経済学者は金融政策は需要の先延ばしにしたり前倒しする効果でしかないと考えていると思います。
金融政策によっては中長期的な経済成長を促すことはできません。
結局は潜在成長率を上げていくための地道な政策を積み重ねるしかありません。
それも経済成長を促すための土壌作り以上の効果は期待できないでしょう。

どんなことでも専門家に過剰に期待するのは間違っています。
専門家だけでなく、レストランのサービスから災害時の行政対応まで完璧な答えや対応を期待するのは不可能です。
一方で専門家は積み重ねられてきた知見を持っています。
この知見を活かすことは何より大切ですし、それを利用できないのは社会的に大きな損失だと思います。
しかし、残念ながら専門家に対する過剰な期待と期待を裏切られたときの失望からの軽視が多くみられます。

社会や他人に対する過剰な期待をする人が多いですが、そのような人は簡単に軽薄な希望や政策などに期待してしまいます。
そしてそのような軽薄な希望を満たそうとして生まれるのは無駄な政策です。
ふるさと納税、軽減税率、消費増税対策の5%還元・・・。
残念なことに経済成長を制御するのは難しくても経済効率を悪くするのは簡単なことです。

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[ 2018/11/23 13:58 ] 社会 | TB(-) | CM(5)
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